似たもの同士4
「あたしぃ、今日出勤したら新人の娘に、あんた誰って
顔された」
「でもあたしは気にしない。うん」
「あたしの方が古いけど」
「一週間に一日の出勤だから、うん、気にしない」
【愚痴なのか文句なのかよく分からない】
セラピストの一人しゃべりの合間を縫って僕は質問を
ぶつけてみた。
「何で窓開いてるの」
「会話が外に聞こえるの嫌なんだけど」
「店長がぁ冷風機のカタログ見てる」
「れ、冷風機」 「エアコンじゃないの」
「店長とかあたしたちが居る部屋はエアコン入ってる」
「!」
「予算無いみたい」
「 !!! 」
【予算の問題では無く、お客さんのためにエアコン入れ
ないのか】
【これから更に暑くなる夏がやって来るのにどうするんだ】
何という店なんだ!
セラピストのトークにうんざりしていたが、勢いは最初
だけで冷静に振り返ってみると、最初にお出迎えをし
てくれた時にセラピストは大分緊張していて声が上ずっ
ていたのを思い出した。 恐らく自分の緊張、ストレスを
和らげるためにひたすらしゃべっていたのが理由と思
われる。 ただ、技術が無いことも劣等感になっている
のは事実のようだ。 理由が分かれば、まあ良しとしよう。
但し事あるごとにうんちくは入る。
「ほうら、やっぱりそうだ。 ここが凝ってる人はここを
ほぐすと楽になる。 うん、楽になったでしょ」
「う、うん」
【全然楽になってないよ!】
【この感じなら、あお向けは期待出来ないだろうな】
そんなことを思っていたが余りにもうつ伏せが長かっ
たので、
【あお向けは無くてもいいや】
と僕の気持ちは既に敗戦モードになっていたのだった。
つづく