心の奥深くで生まれた小鳥は

その姿を整える前に何度も落下する


それでも


その記憶のカケラを引き継いだ新しい小鳥は何度も再生を繰り返す


生まれては飛び立ち

落下する


それでも小鳥は飛び上がることを決して諦めない

何度も何度も

まるでビデオテープを繰り返し再生するかのように

飛ぶことを諦めようとしない


小鳥はいつの日が


必ず大空高く


飛び廻ることができると信じているから







いま
夢を見たよ


僕は山道を歩いていたんだ

どんどん山の中に入って行って
道は少しずつ細くなってくるんだ
誰もいなくて

でも僕はなんだか
嬉しくてしょうがなくて
もっともっと山道を歩いて行くんだ


始めは草や花がきれいに咲いていたけど
段々と大きな木が立ち並ぶ
荒れた山の風景に変わっていったよ
道はどんどん細くなって
そのうち山をくり抜いたような
道になって


僕は立って歩けなくて四つん這いになって這って行ったよ
その道は少しずつ小さくなって
途中で帰れなくなるような気がして
僕は引き返そうと思ったんだ


でも
その時はもう道が細くなり過ぎて
引き返す事もできなくなっていたんだ
僕は心細くなりながらも
進んで行った


そしたら山のてっぺんに出たんだ

雲が下に見えて
空がコバルト色で
太陽が温かく輝いていて
とても神秘的できれいだったよ


長い間その風景をうっとりと眺めていたよ


そろそろ帰ろうと思って
細い穴に入って
また這っていった
段々と穴が大きくなっていったから
安心していたら
急に細くなって
おかしいなぁ
と心配になったら
途中で穴の岩が崩れかけていたんだ


このまま進んだら
岩が崩れて潰されてしまうような気がして
考え込んでしまったよ

そしたら
違う横穴を見つけて
そっちに行ったんだ
道はだんだんと太くなっていって
僕は穴を抜け出して


いつの間にか
山道を歩いていたよ
そのうちに
神社にあるような岩を削って作ったような手洗い場があって
僕は手や顔を洗ったよ


だって泥だらけだったからね
それからまた歩いていくと
いつの間にかお寺の中の回廊の
ようなところを歩いていた


とても古くて
でも手入れがしてあるような黒光りしている廊下を歩いて行くと
いくつかのお堂のような部屋があった


「すいません 誰かいらっしゃいますか?」

って声をかけるんだけど


誰もいないんだ

奥の部屋に入ると大きなテーブルに
薄く切ったしゃぶしゃぶ用の肉のようなものが
大皿にたくさん盛りつけてあった

すごく美味しそうで
きっとお寺でしゃぶしゃぶを食べさせてくれるとこなんだ
って思った


急にお腹がすいてきたんだけど
財布をもって来なかった事に気がついて


ひどくがっかりしたよ


そしたら目が覚めちゃったんだ…。






水平線の彼方には

幼い頃の思い出が眠っている



あの時集めた宝物は
空き地に作った秘密基地の土の中深くに
一人でそっと埋めた


いつしか忘れて大人になった僕には

あの場所を探し出すことはもうできない



少年は鳥になってやってきた


翼はもうあの頃のように美しくしなやかではなくなっていた

薄汚れて羽ばたく姿も頼りなげだった


少年は僕の頭上高くを少しだけ旋回して

遠い水平線に消えて行った



僕の事
忘れないでって


いいたげに