今回のWBCは過去と比較しても、最強の日本代表と呼んでも差し支えないメンバーが揃った。
二刀流の大谷正平、ダルビッシュ有、今年からメジャー入りする吉田正尚、日系二世のヌードバァ
これらの実力者を代表入りさせたのは栗山監督の熱意と人柄によるものだと思う。
予選リーグでは圧倒的な力の差を見せつけた。
たが、決勝トーナメント戦ではイタリア戦はともかく、メキシコ戦は薄氷を踏むような勝利だった。
佐々木、山本共初めは素晴らしい内容だったが、2巡目以降はライナーのヒットを打たれだした。
メジャーリーガーが揃った打線はあきらかに順応性が高く速球や変化球に対応していた。
しかし、9回裏に大谷がツーベースヒットを打ち雄叫びをあげ、一塁ランナーが周東に代ると舞台は整った。
今大会不振だった村上のあわやホームランかという打球がセンターのフェンスにブチ当たると、大谷は一気にホームベースを駆け抜け、すぐ後ろからは疾風のように周東がホームに滑り込んで歓喜のサヨナラ劇になった。
そして翌日
いよいよ夢にまで見たメジャー軍団のアメリカとの決勝戦となった。
試合開始前のロッカールームで円陣を組むと大谷が語り出した。
「 僕からひとつだけ。憧れるのをやめましょう。ファーストにはゴールドシュミットがいたり、センターを見ればマイク・トラウトがいるし、外野にムーキー・ベッツがいたり、野球をやっていたら誰しも聞いたことがあるような選手たちがいると思う。憧れてしまっては超えられないので。僕らは今日超える為に、トップになる為に来たので。今日一日だけは彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけを考えていきましょう。さあ、行こう!」
そう言って指揮を高めた。
素晴らしい言葉にみんなの心はひとつになった。
先発した今永は素晴らしい立ち上がりを見せた。
しかし、2回にターナーにホームランを打たれると、3回は迷うことなく戸郷にスイッチした。
5回以降は高橋宏斗、伊藤、大勢と1イニングつづ繋ぎ、8回のマウンドにはダルビッシュ有が。
日本は村上、岡本のソロホームランなどであげた3点を必死に守り抜いた。
ダルビッシュはシュワイバーにホームランを打たれたが、1点を守り抜いて大谷にバトンを渡した。
大谷はランナーを出したものの、ダブルプレーでツーアウトにするとエンゼルスの同僚のトラウトに対峙した。
まるで漫画のような舞台が整った。
野球ファンの誰もが夢を見た想像世界。
だが現実には起こらないと分かっていた対決。
それが現実のものとなった。
大谷の右腕がうなりをあげた。
初球のスライダーがボールになると、4球続けて全力のストレートを投げ込んだ。
最高の舞台で、最高の投手と最高の打者の勝負は
6球目、この日最高のスライダーが素晴らしいコーナーに投げ込まれた。
打者は全力でバットを振った。
バットは空を切り、ボールは中村のミットに収まると勝負は決まった。
大谷は雄叫びを上げると、
ミットを投げ、帽子を投げつけて喜びを爆発させた。
ギョッチャーの中村はのちに、
「 最後のスライダーがスローモーションに見えた。」と語った。
素晴らしいWBCだった。
侍ジャパン、おめでとう!
そして、素晴らしい感動をありがとう!