今度はいつ行こう?
そんな事ばかり考えていた僕は
夜中の勉強がだんだんと身が入らなくなっていた。
気持ち的には次の日にでも行きたいと思っていたが、彼女が来るとは限らないではないか。
第一そんなにガツガツしていたらドン引きされるのではないか。
それでは、せっかく芽生えた恋の若葉が…
あっ!自分で恋って言っちゃった!
駄目だ、駄目だ、一回打ち解けて話したぐらいで女に恋しちゃあ。
勉強机に座って参考書を手に、僕はそんな風に自分で自分に突っ込みを入れていた。
いろいろと悩んだ末に僕はまた3日後の夜中に部屋を抜け出した。
深夜の道路を自転車を飛ばしながら僕はドキドキしていた。
来るかな、来ないかな、来るかな、来ないかな、
来て欲しいな、でも会ったら何を話そう。
来なかったら、もう会えないような気がする。
プールに着くと僕の心臓は爆破寸前だった
プールには誰もいなかった…
僕の心臓は一気に萎んでいった。
そりゃそうだ、そんなドラマみたいな話がある訳がない。
こんなものだ、
現実はこんなものだ、
恋愛ドラマのようにはいかないのだ。
こんなものなのだ。
そうだ彼女が悪い訳ではない。
むろん僕が悪い訳でもない。
これが現実なのだ。
これが人生というものなのだ。
そう自分に言い聞かせながら、
僕は平泳ぎでゆっくりと水の中を泳いだ。
少しだけ涙が出た、
プールの中だから水が涙を消してくれた。
「 雨が降る日を待って、さらば涙と言おう…」
森田健作の歌の意味がよく分かった。
もうこんな事は辞めようか、
初めは一回だけのつもりだったのだから、
こんな事をやっていたらいつかは見つかってしまうだろう。
文字通り頭を冷やしたら帰るとするか…
そんな事を考えながら泳いだ末にプールから上がった。
「 待ってたよ。明くん!」
暗がりから現れたのは太田だった。
僕はみるみる自分の顔が笑顔になっていくのが分かった。
情け無いほど僕はニヤけていただろう。
「 太田、また会えた!」
「 また会おうって約束したじゃない。」
太田は笑顔でそう言った。
彼女はGパンと白いTシャツだった。
眩しかった。
普段の制服姿と違って少しだけ大人っぽく見えた。
彼女は無邪気に沢山喋ってくれた。
僕はウンウンと頷きながら彼女の顔を見て聞いていた。
生き生きしてるな。
彼女の表情は輝いて見えた。
なんだか僕よりお姉さんみたいだな。
不思議だ。
女の子はちょっとした事で大人に感じることがある。
きっと男より精神的にずっと大人なのかもしれない。
僕は彼女に見とれながらそんな事を考えていた。