太田さんは3年間で一度も同じクラスにはなったことはなかった。


でも僕は彼女を知っていた。

何故なら彼女は秀才女子として有名だったからだ。

僕らの学年は6クラスあって全部で240人いた。毎回のテストで彼女はいつも学年で10番以内に入っていたからだ。


成績優秀な模範生

それが彼女の印象だった。

そんな彼女が誰もいないプールで何をしてるのか?


「 こんな夜中に何してるの?」


すると彼女は可笑しそうに笑った。


「 何してるのって、あなたこそ何してるの?」



その通りだ。

彼女は水泳部だった。

もしかすると、前回の夜プールがバレて不審者を見張っていたのかもしれない。


僕は開き直って答えた。

 

「 暑いから泳ぎに来たんだ。」


すると彼女はまた可笑しそうに笑った。




「 あんたこそ何してるんだよ?もしかして僕を捕まえにきたのか?」


「 えっ?なんのこと?」


違ったみたいだ…

ほっとした。

でも違うならなんで女の子がこんな真夜中に…



「 明くん、この前も夜中にプールで泳いでいたでしょ?」


ドキンとした、見られていた!


「 わたしの家、すぐそこなの。夜勉強してたらプールから泳ぐ音がしてたから驚いたわ。」



見られていた…

ショックだった。


やっぱり悪いことはできないな。

でも、彼女は何を?


「 わたしも泳ぎに来たの。」


その瞬間、罪悪感から僕は解放された。




笑いがとまらなかった。

そんな僕を見て彼女も笑った。


「 しー!」

そうだった、静かにしなくっちゃ。




それから僕らは二人で泳いだ。


僕は平泳ぎ、

彼女は見事なクロールだった。 



流石に水泳部。

水着の彼女はほとんど音をたてずに流れるように水の中をグングンと進んで行った。 

気持ち良さそうに泳ぐなぁ。


その美しいクロールに僕はただ呆然と見惚れていた。