少し前に久しぶりにスモモのキャンディを知り合いから貰って食べた
もともと飴やキャンディは好きではないので滅多に口にすることはない
一口食べて
ずっと忘れていた記憶を思い出した
あれは僕がまだ20代の頃だった
当時付き合っていた女の子と車でデートしていた時だった
ドライブの途中で雨が降ってきた
車だったからどうって事はなかったのだが
喫茶店やどこかの店に行くのも面倒だったので近くの公園の駐車場に車を止めた
その駐車場のすぐ前に電車の線路があった
雨はますます激しく降ってきた
車のフロントガラスには大粒の雨が音を立てて当たっていた
カーラジオからは竹内まりやの曲が流れていた
「わたしね、こんな風に車の中で雨を見ながらのデートって好きだよ。誰にも邪魔されない二人だけの世界って感じだもの。」
「悪くないね。雨の音が僕らを包んでくれてるみたいだね。」
そう言って僕は彼女の手を握った
彼女の手は少し熱くて柔らかだった
ふと彼女を見ると彼女も僕を見つめていた
僕は車のエンジンを切ると
体を起こして彼女を抱き寄せた
彼女は顔を近づけてそっと目を閉じた
僕は彼女の唇にキスをした
彼女の両手は僕の背中にゆっくりと回って
二人の体は密着した
そっと唇を離すと
彼女はつぶっていた目をゆっくりと開くと
僕を熱く見つめた
今度は彼女のほうから唇を押しつけてきた
少しずつ舌を絡めると
口の中に甘酸っぱい香りが広がった
彼女が口に含んでいたスモモのキャンディが僕の口にやってきたからだった
僕はその甘いキャンディを少し味わってから
再びキスして彼女に返した
彼女は少し照れたように微笑んで
しばらくしてからまた僕の口の中に
キャンディをプレゼントしてくれた
スモモのキャンディはやがて僕の口の中で溶けて消えた
いつの間に陽が落ちて周りは暗くなっていた
突然、目の前を電車が走り抜けて行った
車内の照明が暗闇の中の僕らを照らし出した
「いや!いや!見られちゃう!」
僕は笑いながら彼女を抱き寄せた
「こうやってくっついてれば誰かわからないさ。」
彼女は恥ずかしそうに僕の胸に顔を埋めた
スモモのキャンディの味は
あの時のキスを僕に思い出させてくれた
少し頬が赤くなったような気がした。