会社説明会の正式な解禁日は10月1日だった
その日は
「○ニー」
「○○ナカ」
「○○チメガネ」
が重なっていた
どう考えても1社は諦めなくてはならない
いろいろ考えた末に
午前中に「○ニー」に行き
午後に「○○ナカ」に行くことにした

また10月3日には
「○ーユー」
「○○信用金庫」
「○○ーフーズ」
が重なっていた
この段階で一番の本命は
「○ーユー」だった
本命を選ぶということは後の2社を諦めなくてはならなかった
つまり内々定をもらっている「○○ーフーズ」も諦めるということでもあった

いままでコツコツと会社訪問を重ねてきたのに
その大半を諦めるということはツラいことだった
体が2つあればいいのに
そんなことも考えた


10月1日になった
僕はまず「○ニー」に行くことを選んだ
学生は300~400人ぐらいいたようだった
説明会は10時~12時まででスライドや担当者からの一方的な説明会だった
もう少し中身の濃いものを期待していた僕にはもの足らない内容だった

説明会が終わるとすぐに地下鉄に乗って「○○ナカ」の説明会の会場に向かった
13時から始まった説明会には学生が70人ほどだった
始めに簡単な会社説明があって次にグループ面接があった
会社側の担当者が4人、学生が5人だった
「志望動機」「将来どんなコースに進みたいか」「生活信条」などを聞かれた
「生活信条」では
「私の生活信条は『失敗しない者は何もしない者のみである』です。人は何かに失敗すると冒険を恐れるものですが、私達若者は失敗することによって具体的な勉強課題が見つかるものだと思います。一番大切なのは失敗を恐れない勇気だと思います」
と言うとその話が気にいったのか
それをきっかけに人事部長がいろいろと聞いてくれた
僕達のグループは20分ほど話して終了した

2日は特に本命といえる企業がなかったので
「○○光学」の説明会に午後から参加した
自分の希望は営業職だったのだが
ほとんどが全く取引のない小売店への飛び込み営業で月のうち20日以上が出張だという事だった
営業部長の話によれば
「帰れ!と言われてバケツで水を頭からぶっかけられたこともある」
ということだった
その後ペーパーテストと面接があって終わったのは5時過ぎだった
ちょっと自分では勤まらないかなぁ

家に帰って翌日のことを考えていると8時頃に
「○○ナカ」から電話があった
「10月5日の朝8時30分に本社の5階会議室に来てください。適性テストと面接をします」
ということだった

やった!とりあえず一次は通過ということか


3日は結局「○ーユー」に賭けることにした
それは「○○信用金庫」と「○○ーフーズ」を諦めることでもあった

「○ーユー」の説明会は13時からで学生は70人ぐらいだった
まず社長の会社説明会があって、次に各部署の担当者と学生の質疑応答があって、適性テストと常識テストを2時間ぐらいかけてやった
終わったのは5時頃で13と14日に分けて面接をするということだった
やはりここも簡単には終わりそうにないなぁ

5日は「○○ナカ」の面接だった
学生は40人ぐらい
今日が最終面接ということで今回も学生が4人で先方が社長、常務、人事部長、人事担当者の4人のグループ面接だった
「趣味」を聞かれた時は

「大学の友人の下宿を泊まり歩くことです。一緒にご飯を作って食べたり、布団を並べて恋愛話をするのが面白いんです」
と言うとかなりウケていた
「将来の希望コースは」には
「私はスペシャリストよりもオールラウンドプレーヤーになりたいと思っています。ですからまずは生鮮3品なら安心して任せてもらえるようになりたいです。今のところ店長コースとスタッフコースを考えていますがとにかく3~4年は生鮮の現場でみっちり勉強したいと思います。そこから自分の将来進むべき道がおのずとはっきりすると考えています」

昼食を挟んで午後からは適性テストだった
午後からは「○○チメガネ」の説明会に行く予定だったが結局諦めるしかなかった

3時過ぎに全ての予定が終わった

「結果は3~4日したら電話します。もし電話が無かったら悪しからずご了承ください」
ということだった

家に帰って夕食を食べていると7時半頃に「○○ナカ」から電話があった

「今日はお疲れさまでした。本日の面接の結果、私どもの『○○ナカ』で頑張って欲しいということで内定とさせて頂きます」

やった~!

とりあえず働き口が決まった
問題は「○ーユー」をどうするかだ

いろいろ考えた末に僕が出した結論は
明日もう一度会社訪問に行くということだった

翌朝「○ーユー」に電話した
「先日の会社説明会に参加させて頂いた者ですが、面接の日までまだ日もありますので、もしご迷惑でなければもう一度訪問させて頂きたいのですが」
というと

「いいですよ。それでは明日の朝の10時に来てください」

よし!やった!
明日は頑張るぞ!


翌日の7日に「○ーユー」に行った
本当はもう聞くことなど何も無かった
とにかく自分を売り込んで印象に残るようにしたかった
面談室に通されると学生は自分1人だけだった
相手はいつもの人事課長さんだった

昨日2人学生が来て適性テストをやったそうだが
説明会の後に会社訪問に来たのは自分だけだということだった

「実はもう聞くことはありません。どうしても御社に入りたくて、今日は自分を売り込みに来ました」
というと課長さんは笑っていた

今年の営業職の採用予定者は7人だということを聞き驚いた
えっ?その中に入らなくてはならないのか?
前回の適性テストと書類選考で13人ほど足切りをしたという
自分は通過したと聞いてホッとした

「私は成績表を見て頂くとわかりますが大学の勉強は大したことはありません。その代わりに人には負けないことをこの4年間やってきました。それは地域ボランティアというサークルです」
と言ってサークルの実践活動を語っていった
「どんなことであれ長い時間をかけて一つのことに打ち込むことは自分でも気がつかないような強い力を身につけてくれます。きっとそれは社会に出た時に役に立つはずです」
そんな話を僕は続けた
理路整然とは話せなかったが熱意は伝わったと思う
課長さんはウンウンとうなづいて聞いてくれた

最後に
「まぁ、13日の面接は頑張って下さい。あなたのそうした考え方というのは大切なことだと思いますよ。私もできるだけのことはしますから」
と言ってくれた

結局1時間ぐらい話していた
いま自分にできることはできたのではないか
思い切って来て良かった

僕は充実した気持ちで帰路についた。