やっとサークル活動が楽しいと思えるようになったものの
自分が楽しめる時と
落ち込む時の
繰り返しだった

楽しいのはみんなと気楽に話せるようになったこと
パート会で意見が言えるようになったこと

落ち込むことは
意見を深めて展開できないこと
時々みんなの中で孤独になることだった


あっという間に一年が経ち僕は2年生になって
4月には新入生が入ってきた

新入生の勧誘活動(オルグ)は楽しかった

可愛い女の子に話し掛ける口実があるというのは罪悪感のない事で
僕はあぶさんや火星人(2年♂)と一緒になって好みのタイプの女の子に次々と声をかけた

しかし話をするのは楽しいものの
実際にセツルに入部させるという事は大変な事だった
なぜなら自宅生である僕自信が束縛される時間が多く大変なサークルだという事を誰よりも分かっていたからだ

4月はオルグ活動と平行して新しい人事を決めなくてはならなかった
すでに委員長にはアールが決まっていた
残っているのは各パートのキャップだった

昨年は前期がスヌーピー
後期があぶさんだった
じゃんけんパートは今年から二つのブロックに分けて実践する為
パートキャップも二人選ばなくてはならなかった

一人はほぼペコ(2年♀)で決まっていた
もう一人を僕にやって欲しいという声が出た

アールいわく
「ナッツって、セツルをやってきて本当に変わってきた人間だと思うんだ。一年前だったらパート会でもショボンとしてて何も言わないし、一体このままやっていけるんだろうかって思ってたのに、この頃じゃみんなの中で冗談を言ったり、みんなで歌を歌う時もコールしたり、この前のパート会でペコが『わたしは一年間セツルをやっても何も変わらなかった』って言った時、ナッツは『そんなことないじゃんか』って言ったじゃんか。オレはそれがうれしかったの。確かに自宅生で時間がかかるっていうハンデはあるけど、その中で学ぶものは絶対に大きいと思うんだ。もっと苦しむ中でもっと成長して欲しいと思うんだ」

僕は正直言ってセツルは続けたかったが
これ以上サークルに時間を取られるのは嫌だった

それに2年生になったらもっとゼミ活動や講義を真剣に学びたいと思っていた

だがみんなの言ってくれた言葉は身に染みたし
やれるとこまでやってみようという気になり
半ばやけっぱちでキャップを引き受けた

僕のパートにはあぶさん、レモン、一発、スヌーピー
ペコのパートにはアール、チャリンコ、サニー

みんな好きだったので本当はそのまま同じように活動したかった
特にアールと離れるのは寂しかった
僕のような人間にはアールのような存在が必要だと感じていた
アールは厳しい先輩だったがユーモアや人を切り捨てない優しさがあった

新入生(NS)にじゃんけんパートは人気があって10人ぐらいが希望してくれた
しかし、ガキ大将パートや中学生パートの希望者はゼロで複雑な気持ちだった


3月末に大学の近くに新しい下宿ができ
そこにジェレミーとあぶさんが引越しして、新入生のパーマン(♂)も同じ下宿に住んでいた

僕は遅くなるとどっちかの下宿によく泊めてもらった

ある日ジェレミーが
「いま燃えている3人男って誰か知ってる?トットさん、あぶ、ナッツ!」
「えっ?何のこと?」
と聞くと

「燃えてるの知ってるんだから。ドッツン!」
「男なら行け!」
「頑張れ!」

ドッツンはうちのパートに入った新入生だ
目のクリッとした明るくて可愛い子だった
確かに僕はドッツンに好意を持っていた

そのせいか次のパート会からまともにドッツンの顔が見れなくなってしまった

ジェレミーと新入生の女の子ベスト5を出しあった

ジェレミーは
「ズー、クチャ、ミロリ、ミッキー、ドッツン」

僕は
「クチャ、ミロリ、ウラン、ガボちゃん、ドッツン」
をあげた

「ナッツ、NSの女の子から人気あるよ」

「えっ!本当に?」

「『ナッツさんって可愛い』だってさ!」

なんだそれ~

喜んだらいいのか、悲しんだらいいのか…


5月に入って新歓合宿があった
去年と同じ海辺の民宿だった

2日目の朝に
みんなで散歩に出た時に
まずケータが海に落とされた
毎年恒例の儀式が始まったのだ

その後アール、ケイブ、パーマンが落とされ
そして僕も落とされた

油断していた…
気がついた時にはみんなに手と足をつかまれて海にバシャバシャと移動され
放り出されたあの瞬間

体が宙に浮きフワっと軽くなった気がして気持ち良かった
そして海に落ちる瞬間のあの感覚

なんともいえない気持ちだった
意外に海水は温かく
しょっぱかったけど不思議と気持ち良かった

みんな楽しそうに笑っていた
僕もなんだかうれしくて笑った

それから民宿の水風呂に入って体を洗った


新歓合宿が終わると愛セツ連大会があった
愛知県のいろんな大学のセツラーが集まって講演を聞いたり分科会をしたりするのだ
キャップになるとこうした大会の分科会で
議長をしたりレポーターをする事が多くなった

僕は「働きかけとはなにか」というテーマの議長になった
議長、レポーター会議で打ち合わせをした後にフカメラー(議論を深める人)として入ってくれるタマ(3年♂)と何に気をつけて話を進めていくかを確認した
夜の11時半を過ぎていたので終わりにしてあぶさんの下宿に行って泊めてもらった

次の日に会場に行くと
タマがこない!

おまけにうちのところに来たのは2年生が一人と7人が新入生だった

タマにある程度助けてもらおうと思った分焦ってしまった

だが2年生の人が頑張ってくれたおかげで
新入生から
「悩んでいる事が少し分かってきたような気がした。出て良かった」
と言われた時は本当にうれしかった。