先日久しぶりにテレビで映画「異人たちの夏」を観た
主人公はある夏の日に
ぶらりと訪れた浅草で
亡くなった父親そっくりの男を偶然入った演劇ホールで見つける
しかも亡くなった時の若い姿のままで
主人公(風間杜夫)に気づき
「おぅ、出ようか」
と声をかける男
驚きながらもおずおずと男について行くと
「家にくるか」
と誘われ戸惑いながらも家を訪れる
古い時代遅れのような木造の2階建てのアパートの2階
開け放たれた玄関の暖簾が夜風に吹かれてふんわりと膨らんでいる
入ろうかどうしようか悩んでいる主人公を呼ぶように中から女が顔を出す
母親そっくりの女
そんなはずはない
両親は主人公が12歳の時にトラックにはねられて死んだのだから
「いらっしゃいよ」
と呼ぶ女に誘われて部屋に入る
久しぶりに親子3人で囲む卓袱台
いつしか主人公の心もほぐれ楽しい夕食のひとときを過ごす
「また来いよ」
「いつでも待ってるよ」
と声をかけられ
彼はその家に通うようになる
そんな楽しい日々が続いたある日
仕事仲間から顔がすっかりやつれていると心配され
死んだ両親に会っている事が原因ではないかと思うようになる
「このままでは死ぬぞ」
と言われ両親に別れを告げる決心をする
そして最後にすき焼きを食べに誘う
粋なすき焼き屋の2階で座敷に座りながら鍋を囲む3人
和風のステンドグラスの明かり取りから入る夕日がみんなを茜色に染める
「やっぱり俺達がお前に会うと迷惑がかかるんだな」
「体に気をつけて元気でね」
という母に男の目からは涙が溢れる
夕日が沈むのに合わせるようにして次第に消えていく両親
暗くなった座敷には男だけが残される
「二人ともちっとも食べてないじゃないか…」
と呟く男の肩は
いつまでも涙と悲しみに震える
主人公が次第に衰弱していく本当の原因は実は他にあったのだが
何故両親が現れたのか
きっとそれは
息子に迫っていた危機から身を守ってやりたいという親心だったのかもしれない
父親に片岡鶴太郎
母親に秋吉久美子
二人ともいい味が出ていた
いかにも浅草のいい時代のさっぱりとした味の父親
母でありながらもほんのりした色気の漂う母親
監督は大林宣彦
「異人」とは
あの世の世界の人という意味
この映画大好きなんだよなぁ
主人公が初めて父親に誘われアパートを訪ねるシーン
そして最後に3人ですき焼きを囲むシーン
何度観ても泣けちゃう
今回も観ていて
泣いてしまった…。