蒸し暑い夏の日の事だった


僕は母親と田舎の田んぼ道をトボトボと歩いていた


よく晴れて空は真っ青だった


具合の思わしくない母を病院に連れていく為にバス停まで歩いていたのだ


母は体が辛いのか
時々歩くのをやめて
立ち止まって田んぼを眺めている


田んぼは田植えが済んで水をたっぷりとたくわえている
水面に青い空が反射して見える
なんだか涼しげな光景だ


母は田んぼの上を吹きわたる風を感じているのか

いつまでも田んぼを眺めている


僕はそんな母を心配しながらも
バスに遅れてしまわないか不安になっている


僕は空を見上げる


飛行機が遠くに飛んで
後に長く白い飛行機雲を作っている


僕は軽くため息をついた


母はやっとゆっくりと歩きだす

僕もゆっくりと並んで歩く


しばらく歩くと小さな売店がある
店先には氷の旗がひらひらと風になびいていた



母は
「ノドが渇いたね。何か飲んでいくか」
と言った

店の奥から老婆がニコニコと笑いながら顔を出す


「うん、そうだね。何を飲もうか?」

僕はそう答えながらも
バスに遅れないか心配している



まだまだバス停は遠い…








これが母親が亡くなって3年後に


始めて見た母親との夢だった。