ドイツの哲学者ニーチェの
「ツァラトゥストラ」
は1885年に書かれた哲学書である
この本の主人公ツァラトゥストラは
30歳の時から山に籠もった隠者で
山籠もりをした10年ほどの間に得た溢れんばかりの知恵を
人々に分け与えようと山を降りて説教する
彼は弟子達に様々な説教を説く
ツァラトゥストラはこう言う
「ルサンチマンを克服せよ」
ルサンチマンとはフランス語で
「ねたみ」「うらみ」を意味する
それは例えば
「なんで自分は一生懸命働いても貧乏なのか」
とか
「なんで自分の能力を世間は評価しないのか」
という事できっと誰もが抱く感情だろう
そんな時
「もし恵まれた家庭に生まれていれば、もっと幸せだったのに」
と考える事が多い
ルサンチマンの根っこにあるのは
自分の苦しみをどうする事もできない無力感である
絶対に認めたくないけれどどうする事もできない
この無力感を何かに復讐する事で紛らわそうとする心の動き
それがルサンチマンなのだ
しかしニーチェは
こうした思いをずっと抱えていると
自分自身を腐敗させてしまうと主張する
この思いに捕らわれると
「ではこの状況の中で自分はどう生きるか」
という前向きな気持ちを持てずに受け身の姿勢になってしまうのだ
つまりルサンチマンになってしまうと
自分を人生の主役だと感じられなくなってしまうのだ
ツァラトゥストラの言葉はニーチェの言葉の代弁である
「神は死んだ」
ニーチェはルサンチマンこそがキリスト教を生み出したと考えた
それは神という概念がすべてのヨーロッパの文化の基礎となっていると見抜いていたからだ
神様とか天国といったものは人間が現状の苦悩に耐えきれずに
それから逃れる為に作り出したものだと彼は主張する
一言で言えば
「神は弱者のルサンチマン(うらみ、ねたみ、そねみ)から生まれた」
という事だ
神様に従う人間はひたすら「善い事」しかせず
すでに正しい掟が決まっているから
創造的な試行や実験は禁止され
結果として創造性をことごとく抑圧してしまう
「神は死んだ」
とは直接にはキリスト教の神が信じられなくなっていく事を指す
それは19世紀において
絶対的な真理とされていたヨーロッパの最高価値すべてが失われて人々が目標を喪失してしまう事でもあった
このような状態をニーチェは
「ニヒリズム」
と呼んだ
「ニヒリズムとは何を意味するか?至高の諸価値がその価値を剥奪されること」
至高の価値とは神であり
「そのために人間が生きようとする理念」である
このような理念がぼんやりしてしまい人々が何を目指していいのか
何のために生きているのかが分からなくなる
そうした状態がニヒリズムなのだ
「ツァラトゥストラ」の核心はキリスト教の正体を暴いて新たな人類の価値と方向を示そうとしたのだった。
続く