雨あがりの真夜中に

散歩するのが好きだ



もう車も通らなくなったような深夜

一人で

道路の真ん中を

ゆっくり歩く



昼間は

あんなに雨が降っていたのに



街は

大泣きしたあげくに
疲れ果てて

寝てしまった子供のように

静まりかえっている



雨あがりの道路って

どうして

こんなにも

色っぽいのだろう



湿った空気も

ヒンヤリして気持ちがいい



雨に濡れた街路樹も

切なげに光る

信号機の緑も

たまらなくセクシーだ…



僕の頭が

おかしくなってしまったのか



こんな日は

僕の心の闇に隠れていた

別の僕が

顔を出す



草むらから

ひょっこり現れた

年老いた黒猫が

僕を見つけて

ささやく



「おかえり…やっと帰ってきたな」





あぁ

そうだった

遥かな遠い昔…



僕は

暗闇の中で

彼と一緒に

ここに

住んでいたのだった…。