夜10時を過ぎると
子供達は
電池がきれたオモチャのように
眠りにつく
窓の外には
満天の星空が溢れ
満月はこうこうと夜の町並を照らしだす
月の光は銀色の光…
銀色の光を浴びた森は
不思議な妖精を呼び起こす
緑色の服と
緑色の帽子を被ったその妖精は
月の光の中を
フワリフワリと上り
森の上空をしばらく漂いながら
クルクルと旋回する
そして
やがて森を離れ
町へとやってくる
妖精は
まだ灯かりの着いている家を
一軒一軒覗きこんでいく
家の中では
小さい男の子が
「まだ眠たくないよ」
と言って母親を困らせている
妖精は
クスクス笑うと
家の中の子供に
そっと砂を撒いた
子供は
しばらくすると
いままでが嘘のように
パタンと寝てしまうのだった
妖精はそうやって
まだ起きている子供を探しては
そっと砂を撒いて
子供達を眠らせる
町中の子供達を眠らせると
妖精は満足そうに胸のポケットからフルートを取り出す
そして
万華鏡のような音色を奏でながら
森へと帰って行く
一人の少女が
その音色で目を覚ました
寝ぼけ眼で窓の外を見ている
「ねぇ、ママ…緑色の妖精が飛んでるよ」
「…あぁ、それはね、サンドマンって言ってね 砂の妖精なのよ…さぁ、もう一度寝ましょうね」
「うん…砂の妖精…なんだ…」
遠くから
フルートが聞こえている
その音色は
段々と小さくなって
やがて少女は
夢の世界に落ちて行きました…。