つまり
あれはそういう事なのだ
だいたい恋などというものは
本当はどうでもいいものなんだ
それはつまり
季節の変わり目にこじらせる風邪のようなものだという事だ
体力的に弱っていたり
精神的に疲れていた時に
こじらせやすいものなのだ
あの頃
僕は確かに疲れていたんだ
精神的にも体力的にもね
そこに君が現れた
君はニッコリ微笑んで
「大丈夫なの?無理しないでね」
なんて言うから
ついつい勘違いしてしまいそうになっただけの事なんだ
渡り鳥だって 長く飛び続けていたら
たまには
枝ぶりのいい木に留まって休んだり
美味しそうな餌を見つけたら食事休憩をとりたいと思うだろう
ただ そこの居心地が良かったから
いつもより長居をしてしまっただけの事なのだ
あぁ もちろん僕だってそんなに
簡単に勘違いする程 若くはないし
距離をおいて君と接してきたつもりだった
ただ君が
いつの間にか僕のそばにいるのが当たり前のようになって
僕を見かけると
自然と微笑んでくれるようになったから
僕は少し人生ってものも案外悪くないもんだな
って思えるようになったのさ
「それで 何が言いたいの?」
いやいや
別に何か特別な事を言いたい訳じゃない
どんなに寒い冬が来ても その後には必ず春が訪れるし
桜の木が春にいつもきれいな花を咲かせるのは
自然の摂理なんだ
「何が言いたいのか分からないわ」
だからつまり
僕が朝顔だったら…
「あら?桜じゃないの?」
いや 桜と言うよりも朝顔のほうが…まぁ菊でもいいんだが…
「あら 菊よりも桜の方がきれいだわ」
分かった
じゃあ
僕は桜だ
桜は春になったから芽をふいて花を咲かせる訳じゃないんだ
冬の間に枝の中で春に咲くつぼみを育てているんだ
はたから見たらパッと花が突然咲いたように見えるけど
少しずつ花を育ててきたんだ
「それで結局 何が言いたいの?」
あぁ
つまり…
僕はその…
君に会えてうれしいよ…。