千年も生き続けているという
桜の老木のことを聞き逢いに行った。

晴れた日であった。

まだ花咲かぬ桜の木をもうでた後、少し足を
林の奥へ向けると赤く萌えた地が見えた。

心はやされ行ってみると赤い椿であった。

椿の花に一面に囲まれてみるとこの花を想う時
かならず伴うあのそこはかとなく満ちる哀しみ
寂寥感が思い出された。

花の宿命であろうか?

もう東京は江戸ではない。

たたずみ赤い地に慣れた頃、
ぽたっと椿の花が落ちた。

やはり静かに落ちた。

少し居たたまれなくなり花から離れると
何ともいえない光景にあった。

赤い椿の風呂である。

うち捨てられた恐ろしく風化した風呂桶に
雨水が溜まり、その水面に赤い椿の花が
落ち浮かんでいた。

そーっと覗いてみると、
何かが動いた。

見知らぬ人の湯あかがついた桶。
流れ溜まった雨水。
水面いっぱいに浮く赤い椿。

哀しみよりも凄い力だった。

花が花自身が己の宿命などはねつけて
すさまじい美しさと変えた瞬間ではないだろうか?

今年もあの花たちは水面に満ちて
赤い力を放っているのであろう。

宿命を越えて・・
新しき時を刻んで。


       
          2006年3月14日



2年前に書いた記事を
見つけた。

椿である。

思わずあの一面赤で
覆われた光景が甦った。

今でも鮮やかに刻まれて
いるのかと思ったら
また見に行きたくなった。


少し気が早いが
ほんのすこしだけ
気分だけの冬支度を
したくなったので。


たまには
季節に外れるのも
やぶさかかな?


kalos Minas !!
いい10月を!!

皆様_____
どうぞ心有れいし
いい秋の始日を
持されますことを
深心に願いながら・・



油屋甚平


tsubaki.gif









にほんブログ村 海外生活ブログ ギリシャ情報へ
にほんブログ村 写真ブログ アート写真へ
にほんブログ村 写真ブログへ