昨日、夢を見た。

鶏の朝鳴きの第一声に
パチっと目が覚めた。

「朝や!」

ムクっと、サッパリと、起き
オシッコしてササっと台所で
フラッペ(ギリシャのレーコー)を
ギギーガガーと作り、ラジオのスイッチをつける。

チャンネルは、いつもの102.2/SFERAである。

で、

ソファーに腰掛けフラッペを
チュルチュル無心で飲み、
煙草をかぷかぷ吸い、
ひたすら朝に浸る。

で、

もうひとつの手であるカメラF3
「ブルータス」君を取り拭き拭きし、
フィルムを詰めゴソゴソと撮影準備をする。

で、

お出かけモードとなる。


今日は真っ直ぐにパルちゃん
(パルテノン神殿)に向かい
しばし語らいである。


フィルムをもう一本ポケットに突っ込み、
鍵を手に出掛ける。


家の前のペリプテロの親父ヨルゴ-と
しばしブラブラブラ。

そこにパン屋のヨルゴ-が来てまた
ブラブラブラブラ。

で、

バスのチケットを口にくわえ、
も-話しせぇ-へんでぇ!ムードで
バス停まで直行。

が、

これが来ない。

「けぇっ!」である。


だがひたすら待つ。

意地っぱりなのである。

少しね。

で、

やっとこ来たバスは朝の
山手線以上に満員御礼。


気分そりゃ-絶好調に最悪。

で、

何とか降りてテコテコ歩く。

いつもの道を通ると5000%
確実にプラカで労働する友
ミハリに,ヤニ-に,イリアスに
捕まる。

もうブラブラブラブラはアルケタ。

充分である。

よって静寂コースを選ぶ。


この道は、実に本当に美しい道である。

が、

些かに心がしっとりとなるのである。

本日パルちゃんに逢う前にあまり気分を
盛り上げたくはないのだが。

で、

足早にアクロポリス、パルチャンの入口に着き、
タクタクと中へ前進。

で、

階段を登る。


居た!

「パルちゃん。」


初めて此処へ来た日は
寒い冬の朝であった。

冬晴れの朝であった。


「パルちゃん少しギリシャを離れるよ。
 少し長くなるよ。力を貰って行くよ!
 なるべく早く器、も-うちとお-きなって
 帰ってきますよ。祈っているから。」

いつもの場所にデンデと
座り込み長く長く話をした。

が、

なぜか余りカメラを上げる気にならなかった。

が、

切りのない心に仕切りを置くべくカメラを向けた。

で、

一枚撮った。


自分の影も入れた。


空が夕暮れの色合いを持してきた。


そろそろ行く時間だ。

と、

もう一度。

最後にもう一度
振り向いた時、

目が覚めた。



ちょうど1年前の夏、
アテネを離れる前に
パルテノン神殿を訪れた日の

夢を見た。








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