赤い力 / To kokino dinami. | 油屋カフェニオン
日本に戻って久々の冬。
東京で一番目に付いたのが赤い椿だった。
東京がまだ江戸である人間にとって
赤い椿はとても魅力的であった。
どうしても椿はそこはかとなく死の哀しみとかさなり
一瞬、記憶の中にある椿の花を想う時
やはり寂寥感が伴っていた。
花の宿命でもあろう。
だが、この地で見た赤い椿の花は最早哀しみなどなく
美しき1つの生命であった。
そんな赤い花々が落ち地を赤く染める時、
身の底から沸々と静なる力が涌いてくるのを感じた。
なんともいえない花の力が満ちたのであろう。