飲みに行った。ひさびさだ。
飲みに行った先はもう13年ぐらいの付き合いになる
カリスマバーテンダーKさんのとこ。
この店には1年以上顔を出していない。ちょっと楽しみだ。
意気揚々と重いドアをあけ、軽くステップを踏みながら挨拶した。
「ウィスウィス―」
開口一番。
「何で連絡よこさないんだ!こっちから何度もメールしてるだろう!」
怒られた。
えーーーっと。記憶に無い。
携帯の履歴を見ながら思い出してみよう。
・・・あった。
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★お知らせ★
11月23日(日)は営業いたしております
11月24日(月)は振り替え休日のためおやすみになります
よろしくお願いします
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・・・・・・・・・・・・・・完全営業メールじゃん。
そんなものにいちいち返信してるほど暇はない。
つーか俺、客なんだけど。『いらっしゃい。』とかが先じゃない?
そしてそんなことで怒るような人は俺の知り合いにはいない。
しばらく会わないうちにやりずらい人になっちまったな。残念だ。
世間的な不景気も相まってるのだろう。
正直独立開業してからのKさんはあまり好きじゃない。
なぜならば自分のスタイルや感覚を押しつけようとするからだ。
なぜか上からの目線で。
たしかに自分の店だ。好きにするといいし、その中での自分の立ち位置は神的なのであろう。
だが、客がいないと成り立たないでしょ。商売なんて。
自分が神であるならば、その盲信的な信者が客だ。
が、残念ながら盲信的に信じられるほどの圧倒的な力を俺は感じない。
なぜかというとそれを表現するならば、『自己満足』だからだ。
ほんとに俺は自己満足ということが嫌い。
しかも商売において自己満足的なものほど虫酸がはしる。
そんなの家でやればいいじゃん。
いっつもそう思う。
金銭を発生させる何かにおいては、確実に支払う側が神であり、
それに対して従事するのがサービス業だと思ってるよ。
いや、実際神だとも思ってないけど。ごめん。
・・・しかし、
実質的にその店は常連が多く新規の客はほぼないという。
もう3年も続けているわけだから求心力は間違いなくあるのだろう。
きっと俺もまた、顔を出しにいくしね。こんなこと書きながら。
すごく勉強になることもある。
例えば会話のタイミング。間の取り方。体の導線。優先順位。誘導的なワード。
カクテルのスキル。酒の知識。とか。
事実、この店のジントニックはほんとにうまい。
ジンがどうとか、トニックがどうとかではなく。バランスや酸味。グラスの重量感。
好き。
ついでに飲んだものリストにしてみよう。
25:30 入店
1 beerハートランド生
2 ジントニック
2.5 イエローストーン 7年 st
3 グレイグーススプモーニ
4 一口beer
27:00 退店
イエローストーンは安めのバーボンの中で一番好き。非常にシンプルさを感じる。ショットでグイっと。
グレイグースはフランスのウォッカ。無味無臭なくせに味がやさしい。不思議だ。
その風味を壊さないようにスプモーニにしてもらった。ヤバい。これうまい。
予想だにしない甘味が飛び込んできた。発見。
結構ゆっくり飲んだな。適量。
しかし酔っ払っちまえば多少の事は気にならなくなってくる。
むしろ心地よい店に見えてくる。
完全にロカビリーな店内、音楽、リーゼント、ジュークボックス、タレ流しの映画・・・・
・・・・
決して嫌いなわけではないが
別に興味ないものばかりである・・・
不思議なものだが心地よい。
実際そんなものかもしれないね。と薄くつぶやき会計を頼む。
また近いうち顔をだす事を約束し、席を立つ。
「それじゃ、また。」
「ひさびさで5000円も使ってくれてありがとう」
・・・・・ん?ああ。イヤミか。
いつまでもそんな事言ってんじゃないよ。忙しいんだから。
さいなら。またね・・・・・・