朝から晩まで追いかけてきて姿が見えなくなると泣かれ、意思疎通が出来ない子どもとの生活に疲弊していたあの頃。
眠いなら寝ればいいのに泣き喚かれる。食事を用意すれば投げ捨てられる。
イライラして、まだ幼い子どもに向かって声を荒げてしまったのです。
大泣きする子どもを見て我に返り、罪悪感でおかしくなりそうな精神状態で抱きしめながら何度も謝りました。
やっと帰ってきた家族に、今日の事を話すと
「それ心理的虐待だよ」
と一言。
「この人とは分かり合えない」
そんな絶望的な気持ちになりました。
当時、子どもは私にべったりで家族にも頼れず、友人も同じような歳の子がいたので会う事は叶わない日々。夫は激務。
社会から切り離されたような孤独や不安がありました。
現在では、ママが孤独や不安を感じるのはエストロゲンの働きが関係している事がわかっています。
エストロゲンは妊娠から出産にかけて分泌量が増えますが、出産を境に急激に減少しゼロに近い数値まで下がってしまいます。
すると脳の神経細胞の働き方が変わり、強い孤独や不安を感じるようになります。
だから出産後にママが孤独感や不安感を感じてしまうのは当然の事なのです。
でもずっと子どもと二人きりの子育て経験のない人の多くは、あんなにかわいい子どもとずっと一緒にいて仕事もしなくていいなんて、ママは幸せだなぁって思ってしまうのかもしれません。
私だって子どもを産むまでこんな気持ちになるなんて思ってもなかったのですから。
初めてで分からないことだらけ。でも分からないなんて言っている暇も無く、やらなければならない事は山積みです。
目を離した隙に消えてしまうかもしれない命を守ることに必死でした。
人間にはもともと「みんなで協力して子育てする」というスタイルがあります。
昔は同居する祖父母と共に、近所のみんなで子どもを見守る、そんな事が当たり前だったかも知れませんが、今はほとんどの家庭が核家族です。
核家族の子育てとなると家族の参加が必須です。でも現実は難しいですよね。
だったらせめて家族は「正しい答えより優しい共感」をしてください。
正しい答えはママはとっくに知っています。
「ママに怒られるからやめようね」
ママに怒らせるんじゃなくて、あなたが注意してくれたらいいのに。
「ママ怒ってたね。怖いね」
ママを悪者にするんじゃなくて、怒られてしょげている子どもをフォローしてくれたらいいのに。
怒鳴りたくて怒鳴った訳じゃない。その瞬間だけを見て責めないで。ママの心も痛んでるのです。
「今日もお疲れ様。ついイライラしちゃう事もあるよね」
その一言でまた頑張ろうって思えるのですから。