今日のクローズアップ現代で生活クラブ生協の取り組み | あぶぐまの里にっき

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阿武隈の地に移り、昔ながらの農とくらし、技の継承を目指していたが、原発事故で自然・社会環境、自分の心も全てが変貌。

本日のNHK、クローズアップ現代にて、生活クラブ生協の放射能汚染に対する対応について、取り上げられていました。

 
 販売する品物全ての放射能汚染を独自調査して、結果の数値を公表しています。各市町村で1つしかサンプリングされていなければ、細かい実態はほとんどつかめいないので、独自に細かく調査することは消費者にとっては、ありがたい情報です。他の業者も見習うべきシステムだと思います。
 番組では生活クラブの性質があまり放送されていなかったのですが、生活クラブの組合員は食や環境への意識が高いはずなので、当然放射能に対しても敏感で、国の基準の500ベクレルでは不安に思う人が多いと思います。生活クラブは従来、セシウム37Bq/kgという自主基準値を設けていました(これも報道されませんでした)。しかし、原発事故後、国の基準に合わせざるを得なくなっています。生産者との長年の信頼関係を崩せないという立場もあり、消費者と生産者の間で苦悩されている様子が伺えました。

 生産者にとっては、「検査結果が細かく公表されると、不安が広がり買ってもらえなくなる。」というおかしな風潮もあるようですが、数値がわからないから敬遠されている面もよく理解したいところです。また、自分の生産物が汚染されているかどうかを知るチャンスでもあります。
 生活クラブのような、生産者と消費者を信頼関係で結ぶような仕組みは、汚染されてしまった土地を持つ生産者に対しても、切り捨てるのではなく、汚染されない生産物ができるように除洗をしたり、生産方法を改善するような取り組みを組合として行えるかもしれない。

 一般の農家は、今回の放射能汚染に対してどのように対応したのだろうか? 有機農業、自然農など私のつながりのある人たちは汚染された土地では農は行わないという人が多く、海外にまで移転しまった人もいるくらいですが、地元の普通の農家は、作付けOKのサインがでたら例年通り行った人がほとんどではないでしょうか? しかも、「汚染されているかも知れないが、作付けしないと補償がもらえない」という声はよく耳にしました。農家一人ひとりの思いはもっと奥深く、みな悩みながらも、結局昔からの農民は耕すしか考えられなかったと思います。自家用程度のお百姓さんは、孫には食わせないようにしようという人もいました。でも、ある程度の農業者は、実質的には、コメも野菜も農協が買い取ってさえしてくれればそれでおしまい。汚染された自分のコメがどこへ流通しようともはや自分の関与する範ちゅうではない。そんな仕組みでは、健全な農産物が流通するとは思えません。

 名前を忘れてしまいましたが、福島県のコメの農家で、自ら放射能汚染を低くするように施肥方法を工夫したり、汚染を独自調査している人がいました。放射能に関しては農家はみな被害者ですが、こんなときだからこそ生産者も質が問われていると思います。
「風評被害」はたくさんありますが、まだまだ「風評被害」だけを言いすぎですよ。現に汚染されている、しかも、基準値越えの食品が検査をくぐり抜けて販売されています。生活クラブのような取り組みが広まらないと、こういった汚染の広がりはおさまらないし、汚染が極力されないように生産したり、汚染が広がらないように流通させるような取り組みなくして「風評被害」という資格はないと思います。