スコットランド紀行

ウイスキー蒸留所めぐり-1

 

グレンギリー蒸留所はスコットランドの東ハイランド地方にあるウイスキー工場です。ウイスキー工場は一般にDISTILLERY(蒸留所)って呼びます。英語表記は Glen Garioch DISTILLERYですが、スペルを見てまずギリーとは読めません。ガリオックですね。グレンガリオックでgoogle検索してもグレンギリーが出てきますよ。

 

グレンは谷間という意味で、グレンのつく蒸留所は多いです。グレンギリーは谷間の荒れた土地という意味だそうです。

 

場所はスコットランドのハイランドの北海に面したアバディーンという町から車で30分ぐらいかな?アバディーンには行きはロンドンから飛行機、帰りはグラスゴーまで列車で旅をしました。アバディーンで荷物が行方不明になり、手元に戻ったのは旅行最終日の前日という、ひどい目にあいました。(7泊9日の7泊目の夜戻る)

 

グレンギリーはサントリーの傘下です。ついこの間まサントリーの海外子会社はビームサントリー社という名前でしたが、2024年4月30日にサントリーグローバルスピリッツ社に代わっています。

 

12時半の見学ツアーに申し込んでいました。でもアバディーン行きの飛行機がなんとキャンセル。2便後の飛行機に変更。でもどうにか次の便のウエイティングリストに載せてもらい、1便あとでつきました。しかしついたのは13時半過ぎ。おまけに荷物が出てこないわで、蒸留所についたのはかなり遅れました。事前に友人が連絡を入れておいたので、個別の見学ツアーをしてくださいました(普通は無理ですよ。友人がグレンギリー関係者だったのでできたことです。)。

 

サントリーはフロアモルティング(自分のところで、床で麦を発芽させる)を進めていて、ラフラオイグ、ボウモアでもフロアモルティングをしています。もちろんすべてをまかなうのはむりでモルトの一部にはなります。残りはモルト業者さんから購入だったと思います。モルト業者さんはピートのかけ方等細かに蒸留所ごとの注文に応

それでもフロアモルティングしたモルトを混ぜることに大きな意義があると考えてやってはります。

 

見学ツアーですが、開催しているところが多いですが、やっていない蒸留所もあります。ツアーはないけれどビジターセンターや売店だけあるところもあります。

見学ツアーは有料で、たいてい試飲があると思います。スコットランドは飲酒運転に厳しく、ドライバーは試飲分は小さなボトルに入れてもらえます。

関係ないのかもしれませんが、列車もアルコールはだめです。イングランドは列車でお酒はOKです。

 

 

グレンギリー蒸留所 ビジターセンター

 

この中に製造設備がある。蒸留器が見える。

 

ビジターセンターの前の広場。建物はたぶんウェルハウス(貯蔵庫)

 

なぜシカがいるか?聞いたけど忘れた。聞かなかった?どっちだったすら覚かえていない。なんか言ってたような気もするなあ。

 

ウオーターステーション。

みずといきる。

 

ビジターセンター内部。なぜか上だけ。

 

蒸留所に特徴的な建物。パゴダ(仏塔)と俗に言われているみたい。スペイサイドで蒸留所を示すのに、この塔をアレンジしたデザインを用いている。他の場所は知らないが、少なくともアイラ島ではこのデザインは使っていなかった。

現在この設備を実際に使っているところは少ないが、たいていの蒸留所にはあるように思う。またこれが見えたら、あっ、蒸留所だ!って思う。
 

グレンスぺイ蒸留所にはこのパゴダ様の建物はないんじゃないかな?横を歩いて通ったが、これが見えたら蒸留所だと気が付いた。実際には気づかず日本に帰ってから、何回か前を歩いていたことが分かった。なんか工場みたいなのの門があるなあとは思ってた。

 

 

余談

パゴダはもともと仏舎利塔。ミャンマーやタイのパゴダが有名。国によって様子が違う。日本の仏舎利塔はスリランカのに似ていると思う。日本の仏舎利塔は比較的歴史は新しいだろう。歴史的には中国から入ってきた多重の塔がパゴダと起源を同じにする。お墓にある卒塔婆(ストゥーパ)も同起源。形的にはカンボジアのパゴダが似ている?ネパールのヒンズー寺院にも似ている気がする。

などと書いてきたけれど、この建物は全く仏教、ヒンズー教とは無関係。キルン(乾燥装装置)の煙突だと思う。

 

グレンゴインのウイスキーは冷却ろ過を行っていません。普通冷たくすると析出物が出ることがあるので、冷やしてろ過してから瓶に詰めます。冷やしたら析出する成分も含めて、グレンギリーというウイスキーです。

 

サントリーの工場らしくMBC運動をしている。肝心のMBCの意味だが教えてもらったけれど覚えられなかった。

 

フロアーモルティング。

ウイスキーの製造の第一歩は大麦を発芽させること。昔はどこも大麦を水に浸漬させた後床に広げ発芽させる。今は連続式で工場で発芽した麦(モルト)を作る専門会社があり、そこからモルトを買うのが普通。

発芽には発熱を伴うので、このように広げ熱をとる。繰り返し、かき混ぜる(上下を入れ替える)作業があり大変。

 

発芽した麦はほっておくとどんどん成長が続くので、乾燥機・キルンで乾燥させ成長を止める。この乾燥機の上部が先に出てきたパゴダ。ということはこの工場ではキルン、パゴダは現役の設備。

 

じゃあなぜ発芽させるのか?麦は発芽させるとでんぷんの分解酵素アミラーゼができる、または元からあるアミラーゼが活性化する。どちらかよく知らない。ともかく麦芽にすることで、次工程の糖化を行うことができる。

 

酵母(お酒を造る菌)は糖は分解させ、アルコールを生成できるけれどでんぷんは手が出ない。

 

ステンレス製のマッシュタン(糖化槽)が一基。見学したところはたいていマッシュタンは一基だった。糖化が終わるともろみ(ウオッシュ)ができる。よくビール工場で甘い汁を飲むあれ。材質は見たのはすべてかほとんどステンレス製。

 

いよいよウオッシュバックで醗酵。ステンレス製9基。材質は木製も多いがグレンギリーはステンレス製。

 

待ちに待った蒸留。この蒸留器を生で見たかった。

まず初留釜。アルコール濃度を6-7%から20%前後に濃縮する。

材質は必ず胴で、もろみに含まれる硫黄分が胴と反応し除去できるらしい。硫黄化合物はふつう嫌なにおいがする。一度メルカプタンやチオールのにおいを嗅いでみるがいい!(おならのにおいもS(硫黄)系かな。玉ねぎの腐ったのも。(メルカプタンもチオールも同じだったのに気が付いた。)

 

単蒸留と呼ばれる蒸留方式。(我々は学生時代単蒸留をしょんべん蒸留って呼んでいた。ウイスキー屋さんごめんなさい。我々食品やでなく化学屋なもんで)

初留の蒸留塔はウオッシュスチルとも呼ばれ、二回目の蒸留の精留器よりも大きめ。

グレンギリーの特徴はこのウオッシュスチルを直火炊きに戻したこと。普通は高圧スチームによる間接加熱。

直火炊きでは高温で炊くので、副反応が活発化して、力強いウイスキーができるみたいです。

 

スポットスチル(ウイスキーの蒸留器)はどれも似た形をしていますが、よく見ると個性があります。よく見なくてもすぐにわかる部分も多いけど。

窯部分からの立ち上がりが違います。大きくストレート型、ランタン型、バジル型に分かれます。そのほか上部の曲がった部分の角度が違ったり、精留器がついていたり、工場によっていろいろ。だだし形がどう味に影響するかはよく知りません。一般にこの形はこうだと言われているようです。

 

本留釜(スピリッツスチル)。少し小さめ。

本留釜は一基という情報と二基という情報があるけれど、一基じゃなかったかな?

 

蒸留してできたニュースピリッツは、シェリー樽などに詰められて3年以上熟成します。普通8年から10年は寝かすんじゃないかな?5年というのあったように思うけれど。法律上は3年以上。

なぜウイスキーを寝かせるかというのはスコットランドの悲しい話が由来していますが今回は省略。今はシェリー樽だけでなくバーボン樽、赤ワイン樽など樽競争が激化しています。

 

 

このままいくとスコットランド紀行が終わるのは何時になるだろう?

 

 

 

サントリーグローバルスピリッツ

 

 

https://www.glengarioch.com/