50代の資産形成を効率化する方法|急落時のブル型投資と下落相場への備え
50代になると、資産形成に残された時間は徐々に短くなっていきます。
人によって異なりますが、退職までの期間や、安定した収入を得られる期間を考えると、あと10年から20年程度という人も多いのではないでしょうか。
当然、30代や40代の人と比べると、運用できる時間が短い分、資産形成の効率を意識する必要があります。
例えば、米国株のインデックスファンドを積み立てたり、純金積立を行ったりする方法は、資産形成の基本的な選択肢です。
しかし、運用期間が限られている場合、積立投資だけで目標とする資産額に到達するのが難しいケースもあります。
そこで今回は、資産形成の効率を高めるための方法として、レバレッジ型商品や空売り、インバース型商品を活用する方法について紹介します。
ただし、これらは一般的な積立投資と比べてリスクが高い手法です。
大きな利益を狙える反面、短期間で大きな損失を被る可能性もあるため、仕組みを十分に理解したうえで検討する必要があります。
1.株価が急落したときにブル型商品を活用する
最初に紹介するのは、日本株のブル型商品を活用する方法です。
例えば、「楽天日本株4.3倍ブル」のように、国内株式市場の日々の値動きに対して、概ね4.3倍の値動きを目指す投資信託があります。
株式市場では、「ブル」は強気、「ベア」は弱気を意味します。ブル型商品は、株価指数が上昇したときに、通常の商品よりも大きな利益を狙えるように設計されています。
例えば、対象となる株価指数が1日で1%上昇した場合、4.3倍ブルの基準価額は、単純化すれば約4.3%上昇することが期待されます。
一方、株価指数が1%下落すれば、基準価額も約4.3%下落することが想定されます。
つまり、少ない資金で大きな値動きを狙える反面、損失も拡大しやすい商品なのです。
急落したタイミングは投資機会になるのか?
日経平均株価は、経済情勢や海外市場の動向などによって、1日で大きく変動することがあります。
株価が急落する背景には、利益確定売りだけでなく、システム取引による売り注文、信用取引の追証に伴う売却、投資家のリスク回避姿勢の強まりなど、さまざまな要因があります。
こうした売りが重なると、短期間で株価が大きく下落することがあります。
そのため、急落後に株価が反発する局面を狙って、ブル型商品を購入するという考え方もあります。
例えば、日経平均株価が1日で4.9%下落したとします。
その日の値動きだけを単純に4.3倍にすると、ブル型商品の下落率は約21%になります。
仮に基準価額が100から79まで下がったとすると、79から100に戻るには、約26.6%の上昇が必要です。
このように、急落後に株価が反発すれば大きな利益を得られる可能性がありますが、株価が元の水準に戻るだけで、ブル型商品の基準価額も元に戻るとは限りません。
実際の値動きは、日々の騰落率や複利効果、運用コストなどの影響を受けるためです。
翌日の反発で利益を得られる可能性
例えば、対象となる株価指数が翌日に1.39%上昇した場合、4.3倍ブルの基準価額は、単純計算では約5.98%上昇することになります。
100万円を投資していたとすれば、約5万9,800円の利益に相当します。
ただし、これは対象指数の騰落率に4.3倍を掛けた単純計算であり、実際の運用成果を保証するものではありません。
購入価格や売却価格、費用などによっても損益は変わります。
また、急落した翌日に必ず反発するわけではありません。
さらに下落が続けば、損失が一段と拡大する可能性があります。
したがって、急落時にブル型商品を購入する方法は、反発を狙う短期売買の一つとして考えるべきでしょう。
投資資金は余裕資金で用意する
こうした短期売買を行うのであれば、生活費や緊急時の備えとは別に、投資に使える現金を確保しておくことも重要です。
例えば、100万円の余裕資金があれば、相場が大きく下落したときに投資するかどうかを検討できます。300万円、500万円と資金が増えれば、同じ騰落率でも損益の金額は大きくなります。
ただし、資金が多ければ利益が保証されるわけではありません。
投資額が増えるほど、損失額も大きくなります。
また、資金が足りないからといって、キャッシングなどで借りたお金を投資に回すことはおすすめできません。
相場が予想と反対に動いた場合、投資損失に加えて借入金の返済や金利負担も発生するためです。
2.下落相場でも利益を狙う方法
資産形成の効率を高めるためのもう一つの方法は、株価が下落している局面でも利益を狙えるようにすることです。
株価は上昇するときも下落するときも、一定期間、同じ方向に動き続けることがあります。
上昇相場では、株式や株価指数に投資することで利益を狙えます。一方、下落相場では、通常の株式投資だけでは含み損が拡大することがあります。
そこで、下落局面でも利益を狙う方法をいくつか紹介します。
① 信用取引を利用した空売り
信用取引の空売りは、証券会社から株式を借りて売却し、後から買い戻す取引です。
売却したときよりも安い価格で買い戻すことができれば、その差額が利益になります。
例えば、株価1,000円の株式を空売りし、900円で買い戻すことができれば、1株当たり100円の利益です。
反対に、株価が1,100円に上昇した場合は、1株当たり100円の損失になります。
空売りでは、株価が上昇すると損失が拡大し、理論上、損失額に上限がありません。また、保証金の追加差し入れが必要になる場合もあります。
信用取引を始めるには、証券会社で口座を開設し、所定の保証金を預ける必要があります。必要な保証金や取引条件は、証券会社や取引内容によって異なります。
そのため、十分な資金とリスク管理ができる人向けの取引といえるでしょう。
② 日経平均先物などを利用する
もう一つの方法は、日経平均先物などの先物取引を利用することです。
先物取引では、株価指数が下落すると予想した場合、売りから取引を始めることができます。
予想どおり株価指数が下落すれば利益を得られますが、反対に上昇した場合は損失が発生します。
先物取引は、比較的少ない証拠金で大きな金額の取引ができるため、資金効率が高い反面、損失も大きくなりやすいという特徴があります。
相場が急変した場合には、証拠金を超える損失が発生する可能性もあります。
信用取引や先物取引を利用する場合は、取引の仕組みや証拠金制度を理解し、損失が発生したときにも対応できる資金を確保しておくことが大切です。
3.追証のないインバース型商品を活用する
信用取引や先物取引には抵抗があるものの、株価の下落局面でも利益を狙いたいという人には、インバース型商品という選択肢もあります。
インバース型商品は、対象となる株価指数が下落したときに、基準価額の上昇を目指す商品です。
例えば、対象指数の日々の値動きに対して、おおむね反対方向に動くよう設計された商品があります。
また、下落方向の値動きを大きくするレバレッジ型のインバース商品もあります。
これらの商品は、信用取引や先物取引とは異なり、通常、商品そのものを現物で購入する取引であれば、追加保証金の差し入れは発生しません。
ただし、これは損失が小さいという意味ではありません。購入した商品の価格が下落すれば、投資元本の大部分を失う可能性もあります。
また、レバレッジ型商品と同様に、インバース型商品も日々の値動きを基準に設計されているため、複数日にわたる運用成果は、対象指数の期間騰落率に単純に一定倍率を掛けた結果とは一致しないことがあります。
特に、株価が上下を繰り返す相場では、期待した運用成果が得られない場合があります。
そのため、インバース型商品についても、長期保有を前提とするのではなく、商品の仕組みを理解したうえで慎重に活用することが重要です。
4.50代の資産形成ではリスク管理も重要
今回は、資産形成の効率を高める方法として、次の3つを紹介しました。
-
株価の急落後の反発を狙うブル型商品
-
下落相場で利益を狙う信用取引や先物取引
-
株価指数の下落に備えるインバース型商品
これらの手法は、通常の株式投資だけでは利益を狙いにくい局面でも、収益機会を得られる可能性があります。
一方で、いずれも相場の予想が外れた場合には損失が発生します。
特に、レバレッジ型商品は短期間で大きく値動きするため、資産形成の効率を高めようとして、かえって資産を大きく減らしてしまうこともあります。
また、50代の資産形成では、運用期間が短いからといって、必ずしもリスクを高める必要はありません。退職後の生活資金や、近い将来に使う予定のお金まで高リスク商品に投じてしまうと、損失から回復する時間を確保できない可能性があるからです。
まずは、生活費や緊急時に備える現金を確保し、長期的な資産形成の中心となる投資と、短期的な売買に使う資金を分けて考えることが大切です。
短期売買を行う場合も、投資額の上限や損切りのルールをあらかじめ決めておけば、相場の急変による損失を管理しやすくなります。
資産形成では、利益を増やすことだけでなく、大きな損失を避けて資産を守ることも重要です。
高リスク商品を活用する場合は、その仕組みとリスクを十分に理解し、余裕資金の範囲内で慎重に判断するようにしましょう。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。


