映画感想
今回はネタバレありで映画「ブラック・ウィドウ」の感想をつらつらと。ブラックウィドウ公式サイトはこちら。
映画ブラックウィドウは時系列的には「キャプテン・アメリカ シビルウォー」の後から「アベンジャーズ インフィニティウォー」の間に起きた物語。ブラックウィドウことナターシャ・ロマノフが家族と共に壊滅したと思っていた古巣のスパイ組織「レッドルーム」と戦うという内容。
話の大筋は、レッドルームに洗脳された人間の洗脳を解除することが出来るアンプルを手に入れたナターシャが、組織の追跡者タスクマスターに追われながら、潜入任務のために過去に一時的に疑似家族になっていた「かつての家族」と再会しながらレッドルーム壊滅を目指して旅をするストーリー。
登場キャラクター感想
ナターシャ
長らくアベンジャーズの紅一点ポジションを務めた女スパイかつアベンジャーズのおかんポジション。単独主役である今回は従来以上に体を張った戦いを繰り広げる。
今作は仮面のポンコツに追われながら高い所から落ちたり義妹と共に疑似家族探しの旅をしたり高い所から落ちたり机に頭突きしたり高いところから落ちたりするMCU屈指の落下系ヒロイン(物理的に)の座を不動のものとする。
タスクマスター
今作のヴィラン。見ただけで相手の動作をコピーする特技をもつ仮面のポンコツ。攻撃行動が何かしら過去作のキャラのオマージュになっている歩くイースターエッグ。原作では男性だが今作の中身は割とネタにしにくいクッソ重い背景を持つ共産系お嬢様。ギャグにしなきゃやってられないレベルの重さ。
ホークアイの弓にキャップの盾アクション、ブラックパンサーの爪と身のこなしといったヒーローサイドから、ウインターソルジャーのナイフ捌きやシビルウォーでキャップに雑に倒された腕からナイフ出る奴の腕からナイフ出る攻撃など歴代のヒーロー&ヴィランの動きを真似するので元ネタを探すのが楽しい。
エレーナ
ナターシャの義妹。久しぶりに義姉とあったからか話が進む度に饒舌になるキャラ。今作の台本の半分は彼女のセリフなんじゃないかと錯覚するが特にそんなことはなかった。それはそれとしてスパイディやデップーと早く出会ってほしい。ホークアイとの因縁は別にいらない。
ナターシャの着地からの髪バサァ…!決めポーズを茶化すのを「ここまで尺を使うことか?」と思うくらいたっぷり尺を使ってやるのが個人的に本作で一番面白かったシーンでした。客が奇行をしてるのにすぐ近くにいながらガンスルーしてる無表情の店員にもじわじわくる。
散々馬鹿にしながらも、終盤自分もアクションシーンで同じく髪バサァ…!決めポーズしてしまい自分にツッコミをいれるバランス感覚も好き。
アレクセイ
ロシア産のスーパーソルジャー。ナターシャの義父。冒頭の過去回想を見るとキャップよりハルク並みの怪力あるんじゃねと思わなくもないパワータイプ。あと声が強い。
製作陣的にはソーみたいに愛されるおバカキャラを狙ったんだと思うけど嫌がる娘たちを積極的にレッドルームに返してる時点でMCUお約束のロクでもない父親枠寄りなキャラだと思うの。
この親父を救出するシーンが今回の映画の中で最も迫力と映画的見応えがあるシーンだが、刑務所の方々にとってとばっちり以外の何物でもなくて吹く。罪のない刑務所を特に必要のない雪崩シーンが襲う!
メリーナ
ナターシャの義母。義妹と義父の個性が強すぎるのでいまいち影が薄い女科学者。あと声が強い。
家族の中で出番が一番遅いせいもあり個人的に本当に影が薄い。シナリオ的に命がけでヘリを爆破する役目はエレーナじゃなくてこの人がやる方がシナリオ的にレッドルームに協力してきた贖罪やケジメという意味でも良かったのではないかなと少し真面目に感想を書いてみる。
ドレイコフ
レッドルームの支配者。希少な超人兵士を長年潜入任務で使い潰した上に20年間投獄していた無能オブ無能。
内面外面共にMCUでは珍しい生理的嫌悪感を抱かせる悪役で終盤の会話シーンはこいつのドアップが多いのでスクリーンでなく家のテレビで見てよかったと思える配信の利点キャラ。洗脳技術で世界を影から支配していることが匂わされる大物だが死に様は割とあっさりしてる。
ロス長官
アメリカ国防省の偉い人。シールドがヒドラに乗っ取られていたことにもレッドルームが世界を影から支配していたことにも一切気づかずアベンジャーズの足を引っ張り続ける無能オブ無能。
もう良い年なのに冒頭も終盤もナターシャ捕獲のためにわざわざ現場に赴くあたり相当に暇なのか部下を信用していないのか。初登場のハルクから今まで部下に裏切られ続ける人望のなさだからね、しょうがないね。
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内容の感想とか
今作の肝はやはりメインヴィランであるタスクマスターの存在感。一人で複数のヒーローや敵役の戦闘技術を扱えるというキャラクター性は、スーパーパワーを持たないナターシャにとっては非常に危険な難敵であり、見る前からバトルへの期待感も高まります。
橋の上での初戦は、「技術」で勝るタスクマスターに対して、その場の状況や道具を使いスパイとしての「経験」で対抗するナターシャという図式のバトルで初戦の掴みは完璧。燃える。超燃える。
そして初戦からヴェルサスのようにワイヤーでBUZAMAに吊られるタスクマスターのポンコツっぷりに、「あれ、こいつ見た目のわりにポンコツじゃね?」というファースト疑惑が生まれる。
その後の追跡パートのタスクマスターは、登場時の金属的なBGMやどこまでも追ってくる不気味さからマスクをした状態のウインターソルジャーをオマージュしているキャラである他に、ロボであるかのように思わせるミスリードや車に乗った追跡シーンで映画的にはターミネーターも意識しているキャラなんじゃないかなと思いました。
あと血の跡を追って馬鹿正直に悪女ナターシャに騙される様は、再び隠し切れないポンコツ感が垣間見れて好きなシーン。中身は権力者の家に生まれた共産系お嬢様という萌えキャラだからね、しょうがないね。
中盤のレッドルーム内でのアレクセイとの対決は、コピー能力があろうとも体格やパワーは真似できないというタスクたんにとっては相性が悪い対スーパーソルジャー戦。
初戦が技術vs経験だったのに対し、第二戦はテクニックvsパワーという図式で差別化を図る良質なストーリーラインです。ただ残念ながら第二戦は戦闘中にタスクたんが牢屋に閉じ込められるというドジッ子属性発揮により戦いは中断。癇癪を起こし壁ドンする醜態で誤魔化しようがないほどにポンコツ感が割り増しされます。
その後は何だかんだあってナターシャとの最終決戦。橋やら建物やら空中要塞やら一本の映画で何度も高い所から落下し続けるナターシャとの落下バトルの後にレッドルームの洗脳を解くガスを吸わされ戦闘終了。正直ラストバトルはもうちょっと尺が欲しいと思うあっさり気味バトルでした。
余談だが、ナターシャがアンプルを割らないように苦心していたシビルウォーの直後の物語でナターシャがアンプル割りまくりなのがなんか絵的に面白かったです。ジモ「アンプルは容赦なく割り砕く物。みんな知ってるね」。
というわけで自分のブラックウィドウの感想としては、タスクマスターがアクション映画的にも能力バトル的にも面白いキャラだったので満足です。もうちょい戦闘シーンが長ければ完璧だったというのは贅沢かな。
それはさておき、ヴァルチャーやミステリオといったスパイダーマンのヴィランが「ちょうどいい強さ」のヴィランになっているように、今作のタスクマスターもナターシャの強さにとって「ちょうどいい強敵」でよい塩梅でした。タスクたんはあくまで技術のコピー能力特化で防御力は人間並みなのでソーやマ-ベルなど人外レベルのパワーキャラが相手だと瞬殺なのでナターシャ単独作品のメインヴィランにちょうどいいパワーバランスだと思いました。
ただ原作コミックと全然違う中身になったのは思うところあるファンもいそうですが、これは今後デッドプールに「実写デビュー作は散々だな!」とメタなウザ絡みされる布石だと思うのでデップーのMCU参戦を楽しみに待ちます。
あとデップーといえば、一時期スタン・リーおじいちゃんの代わりに毎回ちょい役で出演する枠をデップーが引き継ぐという噂がありましたが、レッドルームのモニターの大量の子供の写真とか、空中要塞から落下する兵士に混ざってたりとかで、すでに今作に出てる可能性を捨てきれないので国内外の解析班の報告を待ちます(他力本願)。
ライアン・レイノルズがブラックウィドウ公開に合わせて意味深な写真を上げてたりするので、今フェーズからはウォーリーを探せレベルの難しさで毎回デッドプールが出てるとかだったり遊び心があって面白いし、見つけるために繰り返し見ることになるので配信メインに移行したいディズニースタジオ的にも利益があるのでデップーにこっそり出演していて欲しいです。お前単に早くデップー合流して欲しいだけだろ?はい(素直)。
と、つらつら感想やら願望やらを書きつつ終了です。
次の感想記事は「ワンダビジョン」、「ファルコン&ウインターソルジャー」、「ロキ」などのデイズニー+MCUドラマ勢か、最近見た映画「ソニック・ザ・ムービー」、「ジャスティスリーグ ザック・スナイダーカット」の感想記事を予定していますが、いつも通りに予定は未定で終了です。
それでは。
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