高層ビル。地上何階にいるのか想定できないくらい高いフロアに、僕を含め男女30人ほどの日本人。外の景色が視界に入ったときに、どれだけ高い場所にいるのかすぐに察しがついた。一面ガラス張りの壁には、同じく高いビルが2つと、その間に佇む夕陽が映る。薄らとかかった雲が不透明のホワイトレイヤーとなり、どこか機械的な自然光は、この世の絵の具全てを使っても表現できないようなオレンジ色に発色し、僕は買ったばかりのデジカメを窓に向けた。
 フロアの4隅、1つの隅にはバーカウンターが設けてあり、残りの3隅は影がかってて覚えがない。白を基調としたカウンターに大人達が7~10人ほど群がり、"立ち飲み"をしている。ボーイは白いカッターシャツに蝶ネクタイをまとい、恐らく短髪の黒人だったと思う。ボーイの背後に位置するガラスで出来た棚に、飾られるように置かれたグラスやリキュールを照らす照明が強すぎて、バーカウンターにいる人達の表情は読み取れなかった。

楽しそうなのか、悲しそうなのかもわからなかった。

この世界にいるときに、僕の耳はミュートされていた。

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 ソファに座っている。座る、というよりか、仰向けに横になっている、という表現の方が正しいだろう。本革の白ソファ。フローリングの具合と部屋の明るさからして、さっきまでいたフロアの、どこか別の場所いる可能性が高い。
 ソファの前面には白色の長い机が用意されており、末端には40~50代くらいの背の小さい男性。そして机を囲むように女性達が立ち並んでいる。最年少は小学生くらいいるんじゃないかと思わせるほど、女性達は若かった。男性はカマキリの様な、大きくかつ鋭い瞳で睨むようにして女性達に対して話しをしている。真剣な男性に対して女性達はラフな態度であった。

 気づくと、左隣に女性が一人"座って"いた。【現実世界】でも知り合いの、17歳の女の子だ。化粧をしっかりしているせいか、目元はいつも知っている顔つきよりもクッキリしている。そこで何を喋ったかは覚えがない。ただ、声が聞こえたのはこちらの世界に来て初めてだった。彼女は寂しそうな笑みを作りながら話しを続ける。【現実世界】では恋愛相談を持ちかけられ、その相手となる男性2人は僕の友達。その一人は違う世界で後ほど遭遇する。相談内容にたいして具体的なアドバイスも出来ずにいたためか、この世界でも、僕は彼女に対して自信のある発言ができていなかった。
 お互いに話し合い、なにか納得してから立ち上がる。自分の口からなにか言い出しているくせに内容は全くはっきりしない。この曖昧な感覚は、強い酒で酔っぱらった時に似ている。

 その足で僕は花と植物の店に向かった。エレベーターを使った覚えもなく、知らぬうちにアスファルトを踏みしめていた。

続く・・・




起きたらもう夕方。【現実世界】に戻ってきました。昨晩の本屋の仕事が朝まで長引いたこともあって、顔を洗ってからベッドにバタンキュー。5つぐらい「夢の世界」を彷徨いましたが、その中の一つ。しっかりと覚えていたから、文章にまとめてみることにしたんです笑

そして、枕もとにはこいつがいた
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なぜ。