内藤大助を破り、WBC世界フライ級王者の亀田興毅に、同級暫定王者のポンサクレックとの指名試合が義務づけられていた。

当時、ボクシングマガジンの批評に矢尾板貞雄氏は次のように述べた。


「ポンサクレックは以前と比べ、スピードが落ちてきています。興毅が自在に動く事が出来れば、ポンサクレックの空振りは増えるはず。追わない、と言うよりは、追えなくなっているのでしょう」


と、ポンサクレックの衰えを指摘したように、当然、亀田興毅もポンサクレックは過去の選手と認識してたのであろう。

なんせ、ポンサクレックは、この時点でプロ78戦のキャリアがあり、戦歴のダメージもある、と考えるのが常識的。


しかし、試合は大方の予想を裏切った。


試合開始早々から切れ味抜群のサウスポーのポンサクレックが矢継ぎ早にパンチを放つ。

あっさり、試合のペースはポンサクレックとなった。


サウスポー同士の試合だけに、リードジャブが鍵を握り、ジャブが打てない亀田興毅は、その弱点をポンサクレックにつけ込まれた。

4回終了時点で、ジャッジの一人はフルマークでポンサクレックを優勢としたように、あまりにポンサクレックの強さが際だった。


そして、5回。

バッティングが起きて、亀田興毅は出血。

WBCルールに沿って無傷のポンサクレックに減点1。

さらに、バッティングが起き、興毅の出血が酷くなったが、今度はポンサクレックも出血した為、両者減点無しの裁定に。


亀田興毅側は、ポンサクレックに2点の減点だ、と主張。


亀田興毅は、その後もポンサクレックのバッティングを繰り返しアピールも、それに意識がいっている。


もう一つ、前回の内藤大助戦では2万人以上が会場に詰めかけ、視聴率も40%を記録したが、この日は会場には空席が目立った。


試合は判定となり、ポンサクレックの勝ちは間違いなかったが、それでもジャッジの一人は引き分けとした。


試合後に、トラブルが起きた。


ライセンス停止中の亀田興毅の父親が、五回のバッティングの減点の対処について、控え室で怒鳴り散らし、JBCの職員に噛みついた。

その言葉は、あまりに酷く、後に亀田興毅の父親は永久追放と処分がくだされたが、最近、永久追放の処分が解かれたようだ(笑)


さて、亀田興毅のやったフライ級の2戦を長く検証してきたが、確かに、ライトフライ級やバンタム級の王者時代よりマシに思えるが、実態は、全盛期が過ぎた内藤大助やポンサクレックを勝てる、と見込んだ亀田興毅の心情が伺えるのではないか。


こうして、亀田興毅のキャリアを振り返ると、まともな相手はウーゴ・ルイスと河野公平ぐらい、と自分は考える。


このフライ級の2戦は評価に値しない、と言う結論。