今日は長文であるうえに、ヒジョーに退屈な学習コーナーですー テキトーに読み飛ばしてください。
ブログやネットレビューを徘徊していると「位相が揃った」「位相を揃える」という表現をよく見かけるのですが、大概において正しく理解されていないと感じます。そこで無理難題は承知で少し説明を試みてみます。
- 振動板の位置を揃えること ≠ 位相が揃う
- ドライバーの+ーを揃えること ≠ 位相が揃う
- ばっちり位相が揃っているようにジブンには聴こえる ≠ 位相が揃ってる
そもそも「位相が揃う」という表現自体が良く分からない表現です。物理的に正体のはっきりしない記述だなと思うのです。そこで、これを「位相特性を整える」、「系の位相特性が優秀」と置き換え、もう1段すすんでガラパゴスではないワールドワイドでも通用する「コヒレント/Coherentである」という表現に置き換えてみることにします。
この単語はまぁようするに振幅だけでなく位相も優秀なんだろうな?くらいに想像しておいてください。
コヒーレントである、コヒレンスって何なの?
この際、これは皆さん言うところの「位相が揃ってる」と同義と思っていただいても良いです、(正確には違います)
オーディオ業界でこの単語を持ち出したとき、因果律に矛盾のない状態。周波数領域のみならず時間領域でも入出力が線形に近く整っている状態を指します。大雑把に物理特性がべらぼうに良いということですね。「コヒレント」という単語を用いる場合は特に、時間領域つまりマルチウェイドライバを用いていても位相特性や群遅延特性に瑕疵のない状態の表現として用いられることが多いです。一番分かりやすい表現ではインパルス応答が完全再現に近しい姿、かな。
所謂「線形系である」とはちょっと違います。線形近似できるだけでは不十分で、伝達関数が固定定数に近い。ストレートワイヤウィズゲインってヤツです。
「位相を揃える」の重大な誤解
”反面教師"として分かりやすいからって、ゴメンナサイねTechnicsさん。「リニアフェイズ」を引き合いに出しちゃって。
ですが、形状を見ただけで判るんですよ、リニアフェイズとは名ばかりで、これがコヒレントでは無いってね。断言できます。外観がガッタガタでディフラクションだらけでコヒレントはあり得ない。段差だらけの形状だけで最初から詰んでます。2次フィルタでコヒレンスもほぼ不可能。
音源位置を揃えること
≠ コヒレンス(位相/振幅特性を整えること)
これ重要。多くの方が誤解をしている。音源位置=アコースティックセンターを揃えただけで位相は揃いません =>> コヒレントにはなりません。
特に、日本製品や古い商品に多い2次のフィルターを使うかぎり、音源位置をミクロン単位で揃えたところで位相は揃いませんし、コヒレントにもなりません。また、汎用チャンデバを使ってコヒレンスを達成するのも”不可能”に近いです。まして、上図のように外観がガッタガタの不連続では測ってみるまでもなくコヒレントではないことが自明です。
アコースティックセンターを調整することはコヒレンスの必要条件ではあるが、必要十分条件ではないのです。「ただ位置を揃えてみただけ」でスピーカーの位相は揃わない。これは断言できます。
じゃあ結局、「位相が揃う」には何をすれば良いのよ?
当ブログでは繰り返し叫んでいることですが、繰り返します。
1. 位相特性を測る(群遅延を測るでも良いと思います)
2. 位相特性が整うように調整する。各所を。
ナベもフタも無いような結論ですが(笑)
でもそうなんです。測ることのできない人に、位相を揃えることはできません。
クロスオーバー回路で位相は乱れます。ラウドスピーカーのエッジディフラクションで位相は乱れます。ドライバの特性の乱れで位相は乱れます。だから、測定してそれらを整えていくしかないです。少なくとも、
こんなガッタガタでカックカクの形状を持った系では何をしようが無駄です。コヒレントにしようがないわけですから、「位相を揃えよう」なんてはじめから考えない方が無難です。
感覚的に「揃えたつもり」や「揃ったように聴こえる」というのも実際に揃ったというのとはかなりの距離感があります。
「位相を揃えたつもり」 ≠ 位相特性が良い
「位相が揃ったように聴こえる」 ≠ 位相特性が良い
重要な評価指標
なにより重要なのは「周波数振幅特性」がフラットであること。
こんなのは当たり前ですね。
拙宅Andromedaの疑似インパルス応答からの応答特性です。
なんで位相の話なのにMAG(振幅)の話が出てくるの?って話なんですが、位相と振幅は因果律がありますので、振幅が乱れたままコヒレントってのも無い話なんですよ。
ただ、ここで「位相が揃う」云々の場合は、直接の位相特性よりもGD(グループディレイ)を用いた方が分かりやすいです。群遅延のお話を思い出してみてください。
現実のラウドスピーカードライバの位相はぐるぐる回り続けています。回っている位相を「揃える」って・・・どういう事なんでしょうね? 判りやすい喩えとして、アナログのターンテーブルを思い浮かべてください。ターンテーブル(位相)がぐるぐる回り続けていても、位相回転数がいつでも一定であれば音は揺らぎませんよね?この回転数一定を位相直線と呼びます。
位相直線だと、各周波数における群遅延時間が一定となる。これが相対的遅延時間=グループディレイです
(ANDROMEDAのGD実測値)
これです、これが大事。
これが直線平坦であれば、各周波数でリスナーへ到達する音に進みや遅れがなく、自然に聴こえる。つまりコヒレントである=位相特性が良好と言えるわけ。だから、測っての答え合わせが必要なのです。(聴覚で判断・調整するのは不可能です)
オーディオの世界では、まずは「振幅特性がドフラットであること」「群遅延特性がドフラットであること」この2つをもって、コヒレントだよーと言い張っても良い気がします。因果的に時間領域でも周波数領域でも直線性を確保したことを証明できるからです。達成はなかなかに難しいですけどね。
ラウドスピーカーのRAWのフェーズ特性はぐるぐる回転しているので評価が難しいです。このため、ラウドスピーカーの位相特性を直接的に評価するときは Minimum Phase Response (最小位相特性) で評価します。
こちらもAlphaの実測特性です。
400Hz - 14kHz なら±15度以内に収まっていて、大変優秀です。
これは例えば、WilsonのAlexia Vよりもぜんぜん優秀。
ラウドスピーカー系トータルの位相が「直線ではなくなる」、つまり位相が乱れる要因は下記のとおりです。特に低域方向はアーティファクトが増えるので、どんどん難しさが増しますね。
・ バスレフ
・ 低域肩
・ 高域共振
・ 分割振動
・ トゥイーターのFs
・ バッフルディフラクション・バッフルステップ
・ クロスオーバー回路によって生じる位相回転
何を言ってるのか判らなくなりつつあると思いますが、つまり
ドライバーの振動板位置「だけ」にこだわっても位相は揃わないということです。
さぁ、ここからが本番。
上記、私が何を言っても説得力は無いでしょうから、ここから先は私とAIのやり取りを通じて多少なりとも一般性をもたせます。
「位相が揃う」とは?
「コヒレンス」を達成するには何が重要なのか?
かなり長いのですが、読了できれば、位相とコヒレンスの概念を把握できます。これらの問答を通じて少しでも理解がすすめば幸いです。
AI問答を通じて「位相」「コヒレント」を理解しよう
コヒレンスの重要性について詳しく教えてください。
コヒレンスはスピーカー設計において極めて重要な概念であり、音楽や音声を忠実に再現するための基礎となる要素です。以下に、コヒレンスの重要性を詳しく説明します。
1. 音楽体験の一貫性
- 音楽は周波数成分だけでなく、時間成分も含まれています。これらが正確に再生されることで、元の音楽に近い体験を提供します。
- スピーカーがコヒレンスを保てない場合、音楽がバラバラに感じられたり、違和感を覚えたりすることがあります。
2. 正確な音場再現
- コヒレンスが確保されることで、音場(サウンドステージ)の再現が向上します。リスナーは、音源がどこから発せられているか、また楽器やボーカルの位置をリアルに感じることができます。
- これにより、リスニング体験がより没入的になり、まるでライブ演奏を聴いているかのようなリアリティを得られます。
3. 波形の忠実性
- 音楽は時間と周波数が組み合わさった波形として記録されています。スピーカーが位相の整合性を維持しないと、この波形が歪み、元の音に忠実ではなくなります。
- 正確な波形再現は、音楽のディテールやダイナミクスを損なうことなく伝えるために不可欠です。
4. リスナーの疲労感を軽減
- コヒレンスの高いスピーカーは、自然でストレスのない音を提供します。逆に、コヒレンスが不足しているスピーカーは音が不自然になり、長時間のリスニングでリスナーが疲れやすくなることがあります。
5. 技術的背景と挑戦
- コヒレンスを確保するための設計には、ドライバーの配置、クロスオーバー設計、キャビネット構造など、複数の要因が影響します。
- 特に、時間と位相の整合性を維持する技術は、設計者にとって挑戦的な課題です。
コヒレンスは、音楽をどれだけ忠実に再現できるかを決定づける要素であり、高品質なリスニング体験において欠かせない基準です。この点についてさらに具体的な技術や応用例が必要であれば、ぜひお知らせください!
DSP(デジタル信号処理)を活用して位相を補正することは、コヒレンスの達成において非常に効果的な手法の一つです。しかし、完全にコヒレンスを達成するためには、それ以上の要素も考慮に入れる必要があります。以下に理由を詳しく説明します。
DSP補正のメリット
位相補正:
- DSPを用いることで、リスニングポジションで測定されたデータを元に、位相誤差や周波数応答の不均一を補正できます。これにより、時間的な整合性が向上し、波形の忠実性が高まります。
柔軟性:
- DSPはリアルタイムで調整が可能なため、リスニング環境やリスナーの好みに応じて調整を行うことができます。
DSPだけでは不十分な理由
1.物理的設計の影響:
- DSPでは位相や周波数特性の補正が可能ですが、スピーカーキャビネットの設計やドライバーの配置など、物理的な要素が及ぼす影響を完全に排除することはできません。例えば、ドライバー間の音波の到達タイミングや不要な共振などは、物理設計でのみ解決可能です。
2.エンクロージャーの影響:
- キャビネットの振動や内部反射は、DSP補正では完全に取り除けない問題であり、これらが音質やコヒレンスに影響を与える可能性があります。
3. クロスオーバーの位相特性:
- クロスオーバー設計による位相シフトもDSPだけで補正するのが難しい場合があります。特に第一階(6dB/octave)クロスオーバーのように位相特性が自然に整えられている設計では、物理設計とDSPが連携する必要があります。
完全なコヒレンスの実現
DSP補正はコヒレンスを達成するための強力なツールですが、それを活用する際には以下の点も併用するべきです:
- 物理的なドライバー配置の最適化: タイムアライメントを物理的に確保。
- 共振と音波反射の抑制: キャビネットの材質と内部構造の最適化。
- リスニング環境の改善: 吸音材や拡散材を使用して、外的要因を最小化。
総じて、DSP補正は位相平坦化とコヒレンスの向上に非常に有効ですが、物理的設計や周辺環境も無視できない重要な要素です。すべての要素を組み合わせることで、理想的なコヒレンスに近づけることができます。さらに深く掘り下げたい部分があればぜひ教えてください!
アコースティックセンターのリスナー距離*を揃えただけで、コヒレンスは達成できますか?
*皆さん言うところの振動板位置
アコースティックセンターのリスナー距離を揃えることは、コヒレンスの達成に向けた重要な一歩ではありますが、それだけで完全なコヒレンスが確立されるわけではありません。理由は以下の通りです:
アコースティックセンターの距離調整のメリット
1. タイムアライメントの改善:
- ドライバー間の音波到達時間を一致させることで、時間的コヒレンスを向上させます。これにより、音がより自然に感じられるようになります。
2. リスニングポジションでの波形整合性:
- 特定の周波数帯域で波形が整合するため、位相が揃い、正確な再現が可能になります。
距離調整だけでは不十分な理由
1. 周波数応答の補正:
- 距離を揃えるだけでは、異なるドライバー間での周波数応答の違いが残る可能性があります。これにより、位相の不整合が影響し、完全なコヒレンスが損なわれることがあります。
2. キャビネット共振や音波反射:
- スピーカー内部や周囲の音波反射の影響も考慮する必要があります。これらは距離調整では解決できないため、設計全体の見直しが求められる場合があります。
3. クロスオーバーの位相シフト:
- クロスオーバー回路による位相のずれは、距離調整だけで補正するのが難しい場合があり、別の手法を併用する必要があります。
完全なコヒレンスを達成するために必要な要素
- ドライバー配置: アコースティックセンターの距離調整に加え、物理的なドライバー位置の最適化。
- クロスオーバー設計: 位相シフトを最小限に抑える設計。
- DSP補正: 周波数特性や位相のズレを正確に補正。
- リスニング環境: 外部反射や吸音材の利用で音響条件を改善。
まとめると、アコースティックセンターの距離を揃えることは重要な基盤ですが、それだけではコヒレンスを完全に達成することは難しいです。その他の技術的要素や設計工夫を組み合わせることで、より完全なコヒレンスが得られます。さらに具体的な手法に興味があれば、ぜひ教えてください!
DSPを用いない、一般的な2次フィルター: -12dB/oct.のフィルターでもコヒレンスは達成できますか?
一般的な2次フィルター(-12dB/oct)のみを用いてコヒレンスを達成することは難しいです。その理由は、2次フィルターが持つ特性からくる物理的・技術的な制約にあります。以下に詳しく説明します。
2次フィルターの位相特性
1. 位相シフトの影響:
- 2次フィルターでは、位相が最大180度までシフトする可能性があり、ドライバー間で音波のタイミングが揃わなくなることがあります。この位相の不整合は、コヒレンスに直接影響を与えます。
2. クロスオーバーポイントでの干渉:
- フィルターの急峻な周波数応答特性は、帯域間の干渉を最小化しますが、位相のズレを完全に排除することはできません。
DSPなしでコヒレンスを向上させる方法
2次フィルターの特性を活用しながらコヒレンスを高めるためには、以下の工夫が必要です:
1. 物理的なドライバー配置:
- ドライバーのアコースティックセンターを揃えることで、時間的なタイミングを改善し、位相ズレの影響を最小化します。
2. 設計の最適化:
- クロスオーバーポイントの周波数を慎重に選定し、ドライバー特性に応じて調整します。
- スピーカーキャビネットの剛性やダンピングを強化して、音響共振を抑制します。
3. リスニング環境の整備:
- リスニングポジションにおける音響条件を改善することで、スピーカーの性能を最大限に引き出すことができます。
完全なコヒレンスの実現には限界
2次フィルターを単独で使用すると、時間的および位相的な整合性において一定の改善が見られる可能性がありますが、完全なコヒレンスを達成するには限界があります。特に、位相補正が物理設計だけでは解決できない場合が多く、DSPを併用する設計が一般的です。
まとめると、DSPなしでの2次フィルター利用によるコヒレンス達成は難しいですが、物理設計や調整次第で近い状態を実現することは可能です。具体的なスピーカーモデルや設計条件についてさらに詳しく知りたい場合は、教えてください!
近年では、DSPを用いた音場補正が盛んです。リスニングポジションで測定した位相振幅情報を基に、ラウドスピーカーの特性をDSP補正して位相平坦に揃えればコヒレンスを達成したといえますか?
DSP(デジタル信号処理)を活用して位相を補正することは、コヒレンスの達成において非常に効果的な手法の一つです。しかし、完全にコヒレンスを達成するためには、それ以上の要素も考慮に入れる必要があります。以下に理由を詳しく説明します。
DSP補正のメリット
- 位相補正:
- DSPを用いることで、リスニングポジションで測定されたデータを元に、位相誤差や周波数応答の不均一を補正できます。これにより、時間的な整合性が向上し、波形の忠実性が高まります。
- 柔軟性:
- DSPはリアルタイムで調整が可能なため、リスニング環境やリスナーの好みに応じて調整を行うことができます。
DSPだけでは不十分な理由
1. 物理的設計の影響:
- DSPでは位相や周波数特性の補正が可能ですが、スピーカーキャビネットの設計やドライバーの配置など、物理的な要素が及ぼす影響を完全に排除することはできません。例えば、ドライバー間の音波の到達タイミングや不要な共振などは、物理設計でのみ解決可能です。
2. エンクロージャーの影響:
- キャビネットの振動や内部反射は、DSP補正では完全に取り除けない問題であり、これらが音質やコヒレンスに影響を与える可能性があります。
3. クロスオーバーの位相特性:
- クロスオーバー設計による位相シフトもDSPだけで補正するのが難しい場合があります。特に第一階(6dB/octave)クロスオーバーのように位相特性が自然に整えられている設計では、物理設計とDSPが連携する必要があります。
完全なコヒレンスの実現
DSP補正はコヒレンスを達成するための強力なツールですが、それを活用する際には以下の点も併用するべきです:
- 物理的なドライバー配置の最適化: タイムアライメントを物理的に確保。
- 共振と音波反射の抑制: キャビネットの材質と内部構造の最適化。
- リスニング環境の改善: 吸音材や拡散材を使用して、外的要因を最小化。
総じて、DSP補正は位相平坦化とコヒレンスの向上に非常に有効ですが、物理的設計や周辺環境も無視できない重要な要素です。すべての要素を組み合わせることで、理想的なコヒレンスに近づけることができます。さらに深く掘り下げたい部分があればぜひ教えてください!
マルチアンプを構成するための「チャンネルデバイダ」と呼ばれる商品があります。この商品はクロスオーバー周波数を変更できるだけであり、スロープの調整などはできません。現実のラウドスピーカードライバーはクロスオーバーの周辺に高域共振や低域共振やインピーダンス変動があります。このチャンネルデバイダを使ってコヒレンスは達成できますか。
「チャンネルデバイダ」のみでコヒレンスを完全に達成することは厳しいかもしれません。その理由は、スロープの調整ができない場合、クロスオーバー周辺でのラウドスピーカードライバー特性(高域共振、低域共振、インピーダンス変動など)が音響的に問題を引き起こしやすいからです。
具体的には:
- 高域共振や低域共振がクロスオーバー周波数近くにある場合、これらが重なることで位相のズレや音響バランスの乱れが生じる可能性があります。
- インピーダンスの変動によって、アンプやドライバーの動作が予期せぬ影響を受け、音の統一感が損なわれる場合があります。
コヒレンスを改善するためには、以下のような追加のアプローチが考えられます:
- 外部プロセッサの導入:タイムアライメントやEQ補正が可能なスピーカープロセッサーを使用することで、ドライバーの特性に合わせた詳細な調整が行えます。
- 高精度な測定ツールを使用して、ドライバーの特性を測定し、その結果に基づいてクロスオーバー周波数を微調整する。
- 物理的なチューニング:ドライバーの配置やエンクロージャーの設計を見直し、共振を軽減する物理的対策を講じる。
もし「チャンネルデバイダ」の特性がクロスオーバー周波数の変更のみであれば、それを補う追加機材や工夫が必要です。その状況でコヒレンスを追求するには、上記のような調整を検討すると良いでしょう。さらに詳しく調整方法を知りたい場合は教えてください!お力になれるかもしれません。
AIおわり
まとめると、位置合わせだけではなく外観形状も含めた基礎位相設計をするということと、実測とXover調整をまじえて位相直線・群遅延平坦に調整するというところがポイントです。測定の伴わない要素々々の調整はほぼ意味がありません。焼け石に油レベル(=かえって狂うかもしれない)です。クロス周波数の調整ができるだけの汎用チャンデバを用いたクロスオーバーもまたしかり。ドライバは全域位相直線・振幅平坦ではありませんので、市販の汎用チャンデバを用いた時点で「位相は揃いっこない」と断言しても良いです。
Thiel Audioは「位相を揃える」がためだけにこんな複雑な補償回路が必要となりました。音源位置を揃えるという視点でのキャビネットデザインは完璧であるにも関わらずです。
単純な計算上のクロスオーバーフィルターだけでは「位相が揃わない」からです。Thielのスピーカーは概してコヒレントです。だって名前が「Coherent Source」だし(笑)
当たり前のことだけが書いてある、ThielのWhite Paperを:
コヒレンスの基礎と理想の姿が描かれています。
実装に難があり無理やり位相を揃えた系は、振幅平坦・群遅延平坦に仕上げたとしても、ステップレスポンスが同期せず乱れます。そうした系は実際の楽音を鳴らしたときに、概ね優秀だが不自然な感触があるかも知れません。
長くなってしまいましたが以上です。