MX-1000 Homage(オマージュ)。

 

アンプが燃えてしまったから音は出せないものの、工作は進められます。

(アンプは重いから、腰も重いのです)

 

パッシヴXoverの実装

 

先日、シミュレーションが完了しましたので、それに従って実装をしていきましょう。その後、手持ちのパーツと整合するため、定数は少し微調整しています。その結果、一層フラットな特性になりました。(あくまでSim値ですが。)

 

最終回路。

 

そのときの模擬特性はこちら。

クロス周辺が相当にフラットです。

上図でアコースティッククロスは4kHzくらいに見えてますが、実際にはフルレンジが2本駆動でフルレンジのゲイン(赤線)がガッと上がりますので、実効アコースティッククロスは5kHz周辺になると思います。狙い通りです。

 

こちらは”電気的な”フィルター特性です。

この歪んだ特性でフラットにつながるってことは。逆説的に言えば、計算値通りのキレイなフィルターなんて現実ドライバーに対しては全くの役立たずということです。

 

総合電気インピーダンス特性です。

最小下降値は、5kHz付近での3.6オームです。

お得意の強烈な特性補償のせいで低下していますが、こんなの、ハイエンドスピーカーに比べれば可愛いもんですね。2オーム切ってるモデルももはや珍しくは無いので。

ウチのアンプでも気絶せず何とか耐えきれます。

 

ノーマル位相とノーマル群遅延です。

グレーの点線がノーマルフェイズ、ピンクの点線がグループディレイ。

 

狙ったわけではないのに、なかなか良好です。特に、群遅延特性はかなり優秀な部類に入ると思います(位相特性が優秀ってことです)。さぁ、自信をもって実装を開始しましょう。

 

 

 

回路調整

手持ちのインダクタでは、これが最小値ですが、0.3mHは大きすぎる。これを0.1mHまで落としたいので、巻線をほどきます。

 

LCメーターで測りながら、少しずつほどいていきます。

 

解き終わって、エポキシで停めたところ。

”直線の導線も大きなインダクタを持っている。”

って、知ってました?

 

解き終わって測ったときには0.1mHだったものが、ほどいた導線を切り詰めて測り直すと、0.09mHでした。ありゃ。少しほどき過ぎたか~。

 

解いた直線部のワイヤーが0.01mHも持ってたって事なんです。

でも、問題無いんです。シミュレーションでは、0.1mHより大きくては困る。小さい分には、0.08mH~0.09mHなら値収束することを確認できています。そういう意味では狙いどおりです。

インダクタを解くときは、少し大きめの値で停めて、ワイヤーを切り詰めてから測り直しをする、というのがナレッジになります。

 

できあがったパーツを配線するために末端加工等々を加工を進めていきます。

 

今回は、1uFのキャパシタが欲しいですが、なぜかストック内に良いものがありません。過去の実験で供出しきってしまったみたいです。1uFの250Vのフィルム。有るには有るが、そちらは安物過ぎて、MX-1000Hには使いたくありません。え~い、この際だ。

 

これを使ってしまうことにしました。

Crecendoのポリプロキャパシタ。絶版品。

 

超々々高級品です。これは300万円のハイエンドスピーカーにも採用はできない。採用可能性があり得るとしたら、700万円超えのウルトラハイエンドのみです。

eBayで、これの1uFを9000円で売っているのを発見しました。1個1万円近くするキャパシタなんて、ハイエンドスピーカーにすら使えないのですよ。

 

MX-1000Hに対しては過剰品質です。でも、デッドストックしていても、この先も出番が無いので思い切って投入することにしました。

 

それに、過剰品質って何なんでしょうね? キャパシタやインダクタに関する限り、オーバークオリティなんて無いのですよ。つまり、1万円出そうが10万円出そうが、キャパシタやインダクタの性能は「悪い」ってことなんです。私がディジタルクロスオーバーにこだわる最終理由もその辺です。

 

MX-1000Hの裏蓋を開けま~す。

 

こんな風に頻繁に開けて、メンテナンスや変更の実験が出来るのがコイツの良いところ。この先も、何度も開ける羽目になるでしょう。

 

パーツを取り付けるためのタッカーを打っていきます。あまり旨くいきません。

 

最初はこちら向けにインダクタを取り付けてみましたが、グラつきが大きくて美味くありません。

 

こちら向けに取り付けたら、ガタツキが無くなり美味くいきました。

 

いずれにせよ、タッカーは上手くいきません。

タッカーの刃を50本くらいは無駄にしたでしょうか。打っても90%は先端がひん曲がってしまい、木材に入ってゆきません。どうやら、ニスで補強塗装したMDFは頑強すぎて、タッカーの刃を跳ね返してしまうらしいです。

 

太めのタイラップをネジ止めしてみました。こちらの方がよほどキレイで上手く行きます。こっちで取付ることにしました。

 

 

パーツの配線が完了したところ。

 

あとは本体側と結線するだけです。

 

えっコレがフルレンジを使っているマトリクススピーカーなの? と、長岡一派が観たらゲロ吐きそうなくらい複雑な絵面です。ただ、こちらを採用した方が物理特性が2桁くらい良いので、こちらの方がベターと考えています。

 

私は数値的な物理特性の良さと、実際の音の良さのみに興味があるのであり、衒学的/文学的/先入観的/心理操作的な優位性にはまったく興味がありません。

 

 

パッシヴラジエーターを調整する

2つのパッシヴラジエーターは、時期をずらして発注したためか、左右で違うブツが到着してしまったのです。

 

左右で違うのが判りますかね? リアーバスケットが在るタイプと、無いタイプ。

どっちでもいいけど、左右で違うのはキモチワルイですよね?そこで、もう1個オーダーしてみました。どちらが到着するかは読めないが、このどちらかと同じモノが到着するだろうという想像です。

 

で、

結論としては右側。リアバスケットの無いタイプが到着しました。(そちらの方が私の好みです。)

 

爪付きナットを接着してウェイトを着けられるようにした様子(左)

質量付加して調整している様子(右)

 

測定ではFsが2個に分離しなかったので、質量を増やしてチューン周波数を下げようという算段です。ただし、何グラム付加すれば良いのかは測定しないと判りません。

 

PRsのFsやQを測定する技法。まったく無くは無いのですが、相対値から逆算するかなり厄介な手法で、ウェイトチューンで調子しちまった方が手っ取り早いのは間違いないのです。SEASのPRsにも公称スペックは有りました。が、全くアテにならない数値でしたので、結局は実測調整が必要でした。

 

結局、左右とも+15gくらいのマスを追加しました。16cmのウーファーくらいのトータルマスになっているかと思います。しばらくはこれで様子見をします。

インピーダンス計測、マグニチュード計測など、正しい測定環境を持っていないとPRsの調整は厳しいんじゃないかなと思います。

 

準備ができましたので、台の上に乗せて本体と結線。

 

ケーブルは立てないと届かない長さなので、下の方から徐々に結線していきます。

 

しっかし。。。見れば見るほどゴチャついた裏蓋やな~。

 

閉腹手術、終了~です

 

さあさあ、あとはアンプを直すだけだ。(腰重っ)

 

暇を作ってでもやるぞー。