こちら、我が家のカセットデッキです。

 

SONYのTC-K333ESX ... っていうんですか?

 

これは昔から持ってたものではなく、4年ほど前に気の迷いで中古で入手したものです。不人気機種なのか、完動品を安く買えました。入手の目的ですが、そんなの、じじいのレトロ好き・郷愁に決まってるでしょう。それ以外に何も無いです。

 

入手直後は、カセットメディアも持ってなかったから、新古未開封の往年の著名テープをあくせく買い漁ってコレクションしました。でも、けっきょくほとんど使いませんでしたね、すぐ飽きちゃって。

入手当時、娘にはわざわざラジカセを買い与え(笑 テープにアニソン、バレエ曲、ドラマソングを焼いて、聴かせていました。娘はテープがくるくる廻ることによって音が出る不思議さに興味津々。早送りや巻き戻しの面倒さも苦にならない様子でした。実際、アナログ・レコードは爺よりも若者にリバイバルで大変な人気らしいし、ブックオフで中古盤LPを漁ってる若者をよく見ます。同じ理由で、カセットテープもリバイバル人気とか。電子データ化された音楽しか知らないディジタルエイジにとって、なにかモノが動かないと音が出ないという仕掛けは摩訶不思議で、感覚に訴えるなにかがあるのでしょう。そこは爺も若もあまり変わらない情緒なのかもしれません。マイクログルーヴにそっと針を降ろすと、プツッと降下ノイズが出て、おもむろに音が立ち上がる・・・その瞬間の爺の感じていたゾクゾクと全く等質の興奮を、今は若者も感じ取っているという事なんです。また、アナログは曲に飽きても数秒でスキップ・・・など出来ませんから、今よりずっと音楽と真剣に向き合うことが要求されました。

 

333ESX不人気の理由ですが、きっと様々な意味で中途半端なのでしょうね。

 

カセット末期のような、究極の高性能や凄味はない。

かといって、70年代のような超古臭いウルトラレトロ感も希薄。つまり、音もレトロも中途半端なのですよ、きっと。

 

でも、サスガはSONYのクローズドループ・デュアルキャプスタン。センターメカです。ワウフラッターなんぞ微塵も感じません。なんなら、調整不良のベルトドライブ(AD)プレイヤーの方がずっとワウが不安定です。

 

このデッキに正直思い入れは無いです。ですが、定期的に火入れしないと色々なところが固着しますよね。

TDKのSA、46分を使って、優秀録音の曲をいくつか吹き込んでみました。

 

うう~ん、イイ! なんかエエわぁ~。

いいですね、久々に聴くカセット。これはアナログ針じゃないから、正直、見た目でぞくぞくするしずる感とかは無いですよ。でも、何かイイ。

 

まず音質ですが、オリジナルと違います。間違いなく音質変化してしまう。聞き分けが出来ないということはない。でも、必ずしも悪い方へ倒れるわけじゃない。モノによっては好ましい方向へ変わるんです。一部の刺激的なソースは、トゲトゲが取れて、ふんわり柔らかく雰囲気の良い音に変わる。

 

決してハイ落ちになったりとか鈍い音になるってわけではない。ちゃんと透明度や解像度は保っています。しかし、元の音とはだいぶ違う。

 

凄く乱暴な喩えをすると、まるで真空管プリアンプを間に挟んだかのように、絶妙な味付けが生じます。これはにんにくラー油なのか、それともカツオ出汁醤油か。

 

ナタでぶった切るような破壊力、切れ味は減退しますが、柔らかな抑揚や温度は増すので、カセットの方が好ましいという人が居てもフシギはないと思いました。なにより、飛ばせないからじっくり聴いてしまうこの感じ、アナログディスクと同様で、とても良いです。

ただ、このあまりの利用頻度が低さ。そろそろデッキも断捨離すべきかなと感じます。