現在のBeta(Xover Ver.7)は心地よい音がしすぎで、なかなか変える気が起きないのです。

 

 

現在Betaの美点

 

たとえばそれはバーサタイルな聴取音量です。少し前のGammaからそうだったのですが、夜中にひっそり小音量で聴くことが多くなりました

 

もちろん大音量再生したときの異次元の威圧感、壮大なスケール、突風が押し寄せるかのようなエネルギーや破壊力は素晴らしいものがあります。ただ、音量を絞りきったときにはそれとは違う魅力があり...。繊細で幽玄でなんとも内省的な再生音は、ひっそりと感性に訴えかけてくる。これはこれで有りだな?と。

 

ピアニッシモで音が分解しないソースは、ついついその微細音を聞き取りたくて音量を上げてしまい勝ちです。今までの私はそうでした。しかしAndromedaは音量をそんなに上げなくても、鮮明に分解して細かい音が拾えるから必要以上にボリュームアップする必要が無いことにも気づきました。もちろん、フレッチャーマンソンカーブ等に準じて聴取レンジは狭くなっています。でも、そうだな・・・例えて言うなら、まるで高級なコンパクトスピーカーを聴いているかのような音場感と分離で、小音量でもそんなに不満が無いのです。音場はハコニワになりますけどね、とにかく雰囲気が良くて、大音量とは違う魅力が出てくる。

 

Gong : A Sprinkling Of Clouds

音量を上げなくても超微粒子のエクトプラズマのような音のリボンが部屋全体を縦横無尽に浮遊し、空間万華鏡を繰り出してきます。音量を下げた方がむしろそのマジカルで怪しい雰囲気と音数の多さが際立ち、うっとりトリップできました。

 

Dire Straits : Telegraph Road

冒頭の2分間強がオーディオ的にも音楽的にも素晴らしく、いつもなら、全部聞き取りたくてつい音量が上がってしまう1枚。

音量を下げて聴いてみましたが、見事にタペストリが分離し、低域の空気感も柔らかく空間を満たし文句のつけようがありません。コイツでこんな小音量で良さを聞き取れたのは生まれて始めてかも。

 

Brahms:Symphony No 1, Neeme Järvi, London Symphony Orchestra

うちにはブラームスの#1は12種類くらい有るんですが、録音だけでいうとこれが一番好きかな。私はヤルヴィの演奏も好きなので必然的にスコアが高くなります。クラシックのこのへんの録音で「音質を気にせず」「音楽に入ってゆける」というのは一つの判断基準となっており、Betaは合格。いつの間にか音質などどーでも良くなり、演奏に没入している。そこポイントです。

生のホール特有でカミソリのような分離や定位がなく、ハーモニーが溶け合いホールトーンが押し寄せてくる感じがよく出ています。一階席中段くらいの感じかしら。

 

 

Betaの高次フィルタオプティマイズ

 

重い腰(イテテ)を上げて、とうとう測定と再調整を開始しました。

高次フィルタの準備です。

 

まずは、Betaのミッドハイレンジ(メカニカル同軸)から。

 

グレーの線が理想ターゲットカーブ。

それに沿うように、紫のラインを調整していきます。

 

もともとミッドハイに適用されていたPEQがどんどん外されていきます。

なぜって、そのほとんどが、「仮想1次スロープ」を模擬するために挿入されていたフィルターであったためです。例えば下降スロープを緩やかにする為のシェルフフィルタなどです。急激なフィルターを入れることになったとたん、それらは不要となっていきます。

 

最終的には、図のとおりたった2つの補償フィルタだけが生き残りました。これらはメカニカル2wayのデカップリングで生じている振幅・位相を補償するためのものです。

 

で、ほとんど補償なしでこんなにキレイにスロープがフィッティングするという。

(KENWOOD LS-11ESでは、こうは行きませんでした)

 

カンタンにフィッティング出来る、==というのは裏を返せば、特性が素直で線形近似補償がしやすい、つまり優れたドライバーということの査証なんです。

 

途中経過は省略。

上図の赤線が

  SuperLow / MidBass / High

の各ドライバアライメントを示しています。

 

怖いくらい綺麗に各ドライバのフィッティングが出来ましたね。これってミッドバスのFountekも無茶苦茶優秀ということなんです。

 

SuperLow - MidBass感は聴感で検証して、緩やかなスロープでつなげることにしました。(-12/Octくらいかな)

 

最終的なクロスオーバーカーヴは下図のとおり。

最終的なアコースティッククロスも、45Hz, 450Hzで、想定と一致しているようです。

 

Thiel Audio CS2.4は900Hzクロスだったみたいですから、クロスが大分下がりました。しかしスロープが急だから、逆に余裕度はBetaの方が有りそうに聴こえます。中域ドライバはキャンつくことも悲鳴を上げることもなく、余裕綽々。

音量:歪でいえばむしろFountekの方がヤバげかな? ばるんばるん云っています。

 

案ずるより産むが易し、想像していたよりずっとあっけなく再調整が完了してしまいました。なんて楽ちんなんでしょうか?

 

 

 

調整が整ったBetaで、視聴を開始しました。

 

それはまた今までとは別の趣で、驚きの音体験となりました。。。そこはまた、後日。(つづく)