KENWOOD LS-11ESを骨までしゃぶるシリーズ~
本日は小ネタです。。。
汚いモノには音神は宿らない
うーこれは酷い。
脂と水分の混じった汚れにホコリがまとわりついて固着しているから、こんなのはブロワーで吹いても落ちないです。コレを綺麗にしていきましょう。
ラウドスピーカーのメタルドームは繊細です。ちょっと応力を掛けただけで、簡単にエクボが出来てしまいます。(もちろんソフトドームも繊細です)
間違ってもドームをヤッてしまわないように、慎重に作業をします。ドームを潰すくらいなら汚いままの方がマシです。
あくまでも私の場合ですが、私はほぐした綿棒か手芸綿を使ってダイアフラムを清掃します。
綿棒を指でほぐすのは大変ですが、マイクロドライバーのマイナスで突っついていると、比較的うまい具合にほぐれます。
手芸綿やコレに、簡単マイペットを薄めた水をほんの少し漬けて拭きます。つけ過ぎは禁物です。ほんの少し。
手先に手応えを感じないくらい、わずかに接触させながら拭いていきます。特にドーム頭頂部は最慎重。抑えつけるのではなく優しく撫でる感じで。アルコールは使わない方がいいですね。ダイアフラムがかえって曇ってしまいます。使うとしたらほんの数滴。かなり希釈した状態で使うとよいでしょう(例えばドームがヤニまみれの場合など)
幸いにして、このKENWOODは清掃洗浄していると黒ずみはたっぷり付きますが、茶色い汁は出てきません。つまり、喫煙者の利用ではなかったようです。
ハードドームやコーンならこの手でいいんでしょうが、ソフトドームにこの手は使えません。ソフトドームの場合は、指で粘着力を落としたマステなどを良く使います。つまり、ホコリをテープで除去してしまうんですね。これもかなり慎重な作業が必要です。
ウン、清掃でだいぶキレイになりましたね。
これならお父さんもオッケーでしょう。
でもまだフランジがくすんでいます。打ち傷、溶剤痕、取り切れない汚れがある。
ピカールで磨けば美しくなるでしょうが、、、さすがにこの個体にそんな労力を掛ける気にはなれない。
あれっ?どういうこと?
やっちゃうの?
けっきょく磨いちゃいました~
やっぱり少し輝きが違う。
でも、、、ミッドレンジばかりこんなに綺麗にしてどうすんの。
それと、ここまでやると、外周部の黒ゴムのりも除去したくなってきました。どうやったら取れるんだろ。シンナーを含浸して爪楊枝でつつけば取れるんだろうか・・・。
メタルネットをここへ戻すかどうか。悩みます。ネットがひしゃげてるんですよね。かなり。それと針金がほつれている部分もある。修復はできるけど、面倒くさそうです。
しょうがないなー
バランスが取れないから、トゥイーターとウーファーのフランジも磨きましたよ。ピカールまでは行かないけど、徹底清掃しました。黒ずみがいっぱい出ました。トゥイーターのメタルネットは外すつもりがないので、中身はブロワーでホコリを吹き飛ばすだけで我慢しました。トゥイーターにはミッドレンジほどの埃の堆積は無かったのです。
・・・なんか、めちゃくちゃキレイになってきたし。ゴミ(ジャンク)にしては、オーバースペックな感じになってきたな。。。
もう、徹底改造しちゃう??
オリジナルなすんごいネットワーク付けちゃう?
それとも、DSP使って徹底的にイコライジングしてHiFi狙っちゃう??
遊べますね~、これ。
ボックスシミュレーションをしてみる
前日の測定で得られたこのウーファーのT/Sパラメータをエンクロージャーシミュレータに突っ込んで色々いじってみました。
このウーファーは、いわゆる「詰んでる」ドライバーで、T/Sパラメータが線形近似のできる正常範囲内にないから、Optimizeに失敗します。≒バスレフで自動計算を実行しても、周波数特性がキレイな形になりません。
現エンクロージャー設計を数値入力して得られた推定特性がこちら:
実測した特性と、カタチは凄く似ています。かなり高い周波数(160Hz)から低下がはじまり、50Hz付近でバスレフの山を作るが音圧は足りず、そしてその下はズドンと減衰する。
チューンはQl=15のSBB4に近いものですが、いずれにせよ調整不能な領域です。
「ウーファーの設計に失敗している」と言って良いと思います。
こういう特性だと、もうバスレフで性能向上は諦め、ポートを綿で塞いでしまい、Q=0.65程度の密閉型とし(それ以上下がりません)、LinkwitzTransformしてしまおうかとも思いました。電気回路を組まずとも、DSPがあれば簡易的なLTは容易です。ただそこまで行ってしまうとそれはもはや「LS-11ES」では無くなりますね。また、そのときのFbは106Hzと高いので増幅度が高く/振幅変位限界点が低くなり、そんなに欲張った特性は狙えない予感がします。