今日は「大長編」で「感動巨編」。市販スピーカーを骨の髄まで晒すの巻。

 

 

徹底的分解のようす

 

ハードオフでゲットし、視聴結果はあまり芳しくなかった(悲)ジャンク品 LS-11ES。

 

このスピーカーを整備したり改造したりする際、最初かつ最大のハードルになるのがこの背面アッテネーターなのです。(らしいのです)

 

なぜって、ツマミがツマミリングとツライチになっていて、引き抜けないからです。しかし、このツマミを引き抜かないと →その奥に収まってるナットが外せないから →アッテネーターも外れないというわけ。だからといって、無理に引き抜くと破壊されてしまう。(・・・といった事前情報を先達の皆さんから学んでいます。いつもながら先達に感謝。)

 

さあて、、、どうしたものか。

 

しかし、よく考えるとメーカーの人達もこのツマミを外せないと困るのではありませんか? 少なくともメンテナンスが出来ないハズ。一般的ではないだけで、このツマミを外すために何らかの治具が存在するのでは??

・・・といった仮説を立てると、ならば自分で脱着治具を作っちゃえ。という発想になりました。

 

まず、セリアでΦ0.55mmのステン針金というものを買ってきました。勘でしたが、この太さがBESTでした。

ステンレスなので、細くてもカッタイです。

 

適当な長さにカットして、ラジペンを駆使しながら図のように先端を鋭く折り曲げます。

このフックをツマミの両脇に挿入して、ツマミの背後を引っ掛けて引っ張り出す算段です。

(安っぽいプラスティックツマミは中が中空になってるから、これで引っ掛かるハズという想像です)

 

両脇に片側ずつ突っ込んで、少しぐりぐりこじって引っ掛けます。

オレ何やってんだろ・・・さながら施錠をこじ開ける盗人の如し。

 

掛かったっつ! 手応えあり!(つば) 

ここで慌てず・・・強引に引けば、針金が負けてヨレてしまいます。慎重に。。。。

 

出てきた。少しずつ、少しずつ、微妙な力加減で引っ張り出してきます。

 

出た~ もう握力で引き抜けるぞ。

 

抜けたぁ~ 奥のナット見えた~ (達成感)

 

細いラジペン突っ込んで、ナットも回してしまいます。

 

ナット取れた~

ついでにツマミカバーも・・・。

 

そして奥へ、脱落した~(笑)

トゥイーターのネットワーク基板が、このアッテネーターと抱き合わせになっているのですが、それらと一緒に奥へ脱落しました。

 

アッテネーターのツマミはこんなんなってます。

ツマミリングがエンクロージャーに挿入され、リングの縁とナットと裏側のアッテネーター筐体で挟み込まれ、かろうじて位置を保持していたわけです。ナットを引き抜けば保持力を失って、アッテネーターだけでなくツマミリングも脱落するというわけ。

 

ついでなので、もう片chも外してしまいました。

治具が元気なうちにね。

 

もうココまで来ちゃうと~

バラすしか無いよな・・・えーい、もう、全部分解しちまいましょう!

 

サラウンドの軟化処理するときも、ドライバーをばらしておいた方が安全ですし。

 

・・・というわけで、まず裏板のビスをすべて外します。

 

裏板を止めていたビスはこんなもの。部分的に錆びてます。

 

このスピーカーはドライバーが内部からビス圧着されており、裏板を外さないかぎり内部に全くアクセスできません。だから前面にビスが見えないのね。。。古い年代の国産スピーカーにしては裏板までしっかりお化粧され、プリントまで入っていて、そうしたガワへのコスト投下が凄いなと思います。ドライバーも見た目高級感ありますしね。でも裏腹に中がしょぼいんだな。

 

この裏板は寸法精度が素晴らしく、本当にピッタリ寸法です。裏を返せば簡単には外れない。ゴリゴリとフリクションがあります。化粧板の端を欠かないように、ターミナルプレートやポートに手を入れて慎重に、水平に、少しずつ手前へ引き出してきます。ぞりぞりぞり

 

やっと外れた~! 中はこんな感じ

 

吸音材で中がよく見えない。

吸音材はスポンジとフェルトです。凄く吸音量が少ない。最小限の感じ。

 

各所がファストンで接続されているので、ファストンを外していかないと裏蓋が外せません。

 

ファストン端子を外す前に、忘れてはいけないのが「撮影」です。

つまり極性のメモ。メモしておかないと、極の正解が判らなくなってしまいます。

 

このクロスダイニーマウーファーって、光を通すんですね。面白いな~。

 

そうだ後日、内部にLEDテープ仕込んで、自発光タイプのスピーカーにしよう(笑)

 

クロスオーバーパーツです。

 

クロスオーバーの全容はこんな感じ。

ウーファー、ミッド、トゥイーター、すべて単純な二次ですね。補償回路はまったく無し。基板が3つに分かれた分散配置になっています。全部がコアインダクタだから、これも意味ありかも??です。

 

スピーカーターミナルの裏側に、ウーファークロスオーバーが直付けとなっています。ウーファーへの結線だけが、ファストンではなく直出しになっており。これが地味に不便。

 

全てのインダクタが、コアインダクタ(鉄芯入り)。キャパシタはほぼ全部電解。

例外的に、トゥイーターの電解キャパシタに、小容量のフィルムがパラってありました。

コスト面から仕方の無いことではありますが、本当に最小限最低限でしょぼいです。インダクタも超小型でコア入りなのにDCRが大きそう。定数をオプティマイズし直し、かつ高級ネットワークパーツで組み直しもしてみようかなと思っています。それだけで音質変貌しそう。。。

 

吸音材のようす。これで全部です。

ちょっと少なすぎるかな。ゴウゴウ言う原因の一端を見た気がします。

キャビネットは15mmのパーティクルボードで、補強は一切無いのでよく鳴きそうです。

 

ここも補強したいけど・・・もし補強したら「現状戻し(オリジナル)」は出来なくなります。

 

吸音材が作業にジャマだな~

面倒だ、全部外してしまいましょう!

吸音材はすべて小さめのタッカーで止まっています。タッカーを1本ずつ抜いていきます。

 

すっぽんぽんになりました。

これでドライバーに楽にアクセス出来ます。

 

ミッドレンジは大型の樹脂製バックキャビティを抱えています。

 

スピーカーを分解するようなマニアの方々にとってさえ、このバックキャビティの存在は不思議に映るらしいです。自作派やスピーカーの理屈が解っている方にとっては、帯域分割したドライバのキャビティを分離するのは常識なのにね。

 

さて、まずトゥイーターから外してみます。

ネジが抜けると表面からドライバーが脱落・落下します。

なので、前面でドライバーを手で抑えながら、スクリュードライバーを回さねばなりません(紛らわしい…ややこしや…)

 

取れた。これはトゥイーターを止めていたネジ。

スティール製。2本のみと、やや心もとない。

少し緩み止めが塗ってある。

 

次にミッドのバックキャビティを外して・・・と。

結構大きいな。たぶんポリカーボ製ですね。出来ればもう少し肉厚が欲しいな。

 

といっても、ミッドレンジのマグネット分を抜くと1L前後しか無い感じ。申し訳程度に吸音材が詰めてあります。

 

このミッドレンジ、1kHz-5kHz(公称)なんですよ。せっかく造作が良さげで大口径なミッドなのだから、もう少し低い方まで持たせたいです。そこもミッドのFsを実測後、チャレンジしてみたいと思います。

クロスが高めなのも「コスト」が関係していると思います。クロスが下がるとインダクタもキャパシタも一挙に容量が上がり、コスト的に破綻するのです。ローコスト品はたぶんエンジニアリング的にも色々無念な妥協をいっぱいしていると思います。

 

バックキャビティを止めていたビスはこちら。タッピングビスです。ゆるゆるでした(笑)

 

ミッドレンジとウーファーが露わになりました。

これで取り外しできます~。

ミッドのマグネット、なかなかでかいですね。

 

ウーファーが外れました。

マグネットはΦ90x15mmとΦ70x10mmのダブル。

キャンセルマグネットの接着がオフセンターしとる(笑)。

 

こちらはウーファーを止めていたネジ。ミッドトゥイーター用より一格太めです。こちらもゆるゆるでした。

強く締めると、エンクロージャーの木口が脆く破壊されてしまうから・・・などの事情があったかも知れません。

 

ミッドレンジ、外れました。

モーターシステムはレイズドとなっており、当然ながらコーン背圧が裏側へ抜けるようになっています。でも古いから、ポールベントとかは無いのね(笑)。

マグネットはΦ80x13mm + Φ70x10mmのダブル。口径や質量からしたらかなり強力です。

このようにマグネットを重ねたものは「キャンセリングマグネット」と呼ばれ、磁力線が内側へ収束しブラウン管式テレビなどへ磁力影響が及ばない効果があるそうです。実はこの反発マグネット、BL積を上昇させる効果もあるので、マグネットの見た目以上に駆動力はあるのです。見た目の貧弱さだけで判断してはいけません。最近だと、この構造が発展して新しいモーターシステムが生まれているの、知ってました? 具体的にはギャップが2箇所あるのです。

 

トゥイーター、外れました。

マグネットはΦ55x6mm + Φ50x5mmのダブル。

こちらも貧弱に見えるかも知れませんが、能率合わせの為だと思います。

 

そう考えると、このシステムのウーファーはかなり振動系が軽いのでしょうね。エンクロージャーの設計からもなんとなくそれが伺えます。各ドライバー、特にウーファーとミッドはスタンドアロンでのT/Sなども測ってみるつもりです。Xoverの再設計には必要ですしね。

 

3ドライバー揃い踏み~

拭けばどれもMINTでした。メタルネットは凹んだりしてますけどね。

 

ドンガラと化した、エンクロージャ~

こうして見ると、やっぱりパーティクルボードって汚いし強度も心もとないですね。自作スピーカーではいつも内部にウレタンやラッカー塗って強度と防湿性を上げてるんですが・・・これも塗っちゃおうかな・・・。

 

これでようやく片chが(笑)全解体終了です。

そんなにコレばかり時間は掛けられないので今日はここで作業終了~。

楽しい。。。メーカー製品を分解して曝け出すのは実に楽しいです。やめられん。

 

次回、メタルネットの撤去またはサラウンドの軟化処理にチャレンジ・・・かも知れません?適当な絵筆が見つからなかったので、買い出しに行かねば。

 

 

 

おいおい、miniDSPはどうした?

音質に不満が無いから、なかなか重い腰が上がらないのです。どうしてもストレスがなく興味がある方へ流れてしまいます。(^◇^;;  そちらもそのうち、ヒマを見つけて追々。