本番セットアップもできましたので、本番環境での最終ゲイン調整を行っていきます。
・・・と、言ってるソバから、強引にねじ込んだラインケーブルが抜けて、片ch音が出なくなってしまいました。
業を煮やした私は、コネクターを引っこ抜いてケーブルを直接ハンダ付けしてしまいましたとさ。
これで容易には抜けないでしょう。このPCBは両面スルホールだから、パターン剥離も起きにくいです。
さてゲイン調整です。
500Hzの連続サイン波を再生し、ピークRMSを計測し、アッテネーターを少しずつ絞ってゲインを揃えていきます。
Ch-A
Ch-B
A/Bの音圧偏差は、だいたい0.1dB差です。
これ以上は追い込めませんでしたが、0.1dBはヒト聴覚検知限未満ですから十分でしょう。
また、心配していたボリュームによるギャングエラーも0.1dBも有りませんでしたのでまずは一安心です。
次に、トータル-3dBほどアッテネーションしましたので、Super Bassと、Tweeterのゲインをそれぞれ-3dB調整して、全体の条件をそろえました。
ここで被検対象となるアンプをご紹介しておきます。
まず MERIDIAN 556。英国製のパワーアンプです。
英国らしく、幅360mmのコンパクトデザインながら、中身はミニお化け。なりはコンパクトでも17kgとズッシリ重く、アルミとガラスの塊です。また、100W規模に不釣り合いな800VAの大型トロイダルトランスと、トータル80,000uF 54,000uFの平滑コンデンサーを擁しています。これって、ちょうど私が自作した6chアンプと全くほぼ同じ電源規模ですね。それでいてこちらは2chですから、私の自作アンプよりも「3倍強力な電源」とは言えるでしょう。
ただ電源容量が大きいだけでなく、2Ω負荷でもビクともしない瞬時電流供給能力とハイスリューレートも備えており、小さな巨人のような存在。ML332Lと併用していた当時、なんだコレで十分じゃないかと、Mark Levinsonの方は売っぱらってしまいました。以来、20年の長きにわたり、サブウーファー以外の中低域以上の帯域を受け持ったアンプです。内部コンストラクションやワイアリングは「プロの技」という感じで、アマチュアの私ではとても太刀打ちできない美しい仕上がりです。
対して、比較するのは自作の6ch MOS-FETパワーアンプ。
電源規模が同一だから、実質 1/3... とはいえ、電流容量のほとんどは低域~中低域で消費されます。その実態を考えれば電源はイーブンと言っても良さそうに思います。
くわえて、こちらは1chあたり60W-65W(/8Ω)程度しか出力できません。ので、ワッテージあたりの電力は優位となります。
拙宅は、8chのマルチアンプ/マルチウェイ構成ですので、残念ながら全帯域での音質比較はできません。
当初の予定どおり、最初の試験はGammaのミッドバス帯域(ETON 8-612)のみで比較視聴してみたいと思います。
下図は、Andromeda-Gammaのクロスオーバー状況を示したものです。
GammaはAir Motion Tweeterが1kHzから上~を受け持つという極端な構成です。にも関わらず、こうしてみればやはりMidBassの受け持ち帯域は最も広く、基音帯域であることからも音質に大きなインパクトがあるであろうと推定できます。
実験にあたり、新しい電源ケーブルも取り寄せました。
超ゴン太、超強力シールド付き、高級プラグ付きで、中華製ながら私が持っている中では品質が最も良いものだと思います。ほかはOrtofon製、Meridianの付属品、100円で買ってきた中古(PC用?)etcしか無いです。
ご多分に漏れずWWだのトラペだの、50万円以上ぶっこんだ時期もあったのですが、あまりの投資効果のなさに全部売っぱらいました。
このA/Bテストは色々な意味で厳格性に欠けます。というのも、
- 電源ケーブルは同一ではなく、公平でもない。
- MOS-FETアンプにはALPSの安物デテントが挟まって音質劣化している
- ゴミみたいな安物分岐ケーブルや安物RCAケーブルで音質劣化しているし、公平でもない
ごみのような環境下でのテストですから裏を返すと他のデバイスの支援は一切得られず、アンプの実力のみで勝負せざるをえないという、極論な状況にはなったかなと思います。
----
さあ! いよいよ音楽による試聴です!
カチっ・・・ カチっ・・・ カチっ・・・
ああ~、、 、、コレは凄いわ。
こんなに違う のか・・・。
ゲインは0.1dB差ですから、これは音量の違いではないです。こんなに違うものかと、予想を覆す音質差に仰天です。これは面白いわーー。
もうね、全部判っちゃいましたよ。
私、事前に「どちらがAでどちらがBかもはや認知できないはず」と言っていたじゃないですか?
でも、答え合わせなんてしなくても、もう判っちゃいました。
「A」ボタンが6ch MOS-FETアンプですよ。そして「B」ボタンがMERIDIANです。
なんで判ったのかって?
ここ数ヶ月、私はGamma+6chアンプでずっと聴き続けてきたわけです。Aは聴き慣れた音がするんです。Bは聴き慣れない音がします。だから、BがMeridianなんです。もう多くを聴かず、音出し一発で判ってしまいました。それも克明に。
これは、ホントいろいろな示唆に富んだ実験となりました。とても楽しいです。そして、また幸せを噛み締めています。詳しいインプレは、次回以降で書いていきたいと思います。