RUSHの永遠の名盤。Hemispheres(邦題:神々の戦い)です。Analog Disk。

 

日頃はこれをA/D変換してDLNA上に吸い上げた音源を再生しています。

いったんディジタルにしてしまった方、が大音量再生してもハウリングや音響フィードバックなどの問題が生じないので、都合がよろしいのです。

 

それでウチではこの盤の3種の音源が試せるようになっていて、

・AD(をリッピングしたもの)

・通常版のCD(をリッピングしたもの)

・ストリーミング配信版:40th Anniversaryと呼ばれるリマスタリング版

 

別に優秀録音というわけでもないのですが、それでもあまりに音質が違います。もっぱらAD版しか聴きません。音質が決定的に違うからです。

 

興味があったので、双方の同一パートのスペクトルを比べてみました。

 

左側が最新のストリーミング版。右側がADをリッピングしたものです。

 

 

低域の伸びは、ほんの僅かながらストリームの方が上。ちょっとだけ低域が伸びています。また、ハイエンド20kHzの伸びもあからさまにストリーミングの方が上回っています。

ところが聴感上がそれと一致せず、真逆の印象になるのです。ADの方はゲディリーのベースの輪郭が素晴らしく、ベースラインが克明に聴き取れます。ストリーミングの方はなにやらモコモコと不鮮明なイメージがあります。どちらもDLNA上にリッピングされたデータ再生ですから装置の違いはなく、純粋にマスタリングというか音源の質の違いと思われます。最近気づいたことですが、AndromedaGammaは歴代スピーカーの中でも最もベースの隈取りが鮮明で、コレまでも聴こえていたものだとは思いますが、こんなベースラインだったのかと改めて気付かされることが多くなりました。

低域だけでなく、高域のサラサラとした微粒子感もADの方が上。また、決定的に違うのは音場感、空間感です。ADの音場感を聴いたあとではCDもストリーミングも聞く気がしなくなります。

 

右側のADの方は、8Hzにピークが見られます。これはトーンアームの低域共振を拾ったものを忠実に再現しています。

普通のスピーカーではこれは再生できない帯域ですが、拙宅のスピーカーはコレをモロに再生してしまいます。したがって、再生音にはゆらぎというかランブリング変調が生じているはず。もしかして、そのランブリングが独特の雰囲気感を産んで、それを好ましいと判断しているだけなのか?否、それにしては楽器の音が本質的に違いすぎます。

 

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余談ですが、Andromeda Gammaで初めてHemispheresのベースラインがまともに聴こえた気がします。ベースラインの音階が無茶苦茶鮮明に聴き取れます。これまでどんだけ酷いスピーカーで聴いていたんだという。これまでも聴こえてはいたのかもしれませんが、こういうベースラインだったのか~としげしげ聴いてしまったのはほぼ初めての経験となります。

久々にHemispheresを大音量で鑑賞しましたが、これまで聴いた経験のなかでは異次元でした。

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Hemispheresは大した録音ではないのですが、もっと大きな差が生じてしまうのは下図の2枚。

(スペクトラム撮り忘れた)

 

右側はRUSHのA FAREWELL TO KINGS。

左側はMichael HedgesのAerial Boundaries。

 

いずれもADをA/Dしてリッピングした音源を再生しています。

 

どちらもディジタル音源に大差を付けます。(ってリップしてるんだからコレもディジタルじゃねえか!)

 

まずA FAREWELL TO KINGS。

2曲めのXanadu、冒頭3分間のステージ再現と高域の切れを聴きます。

マルチマイクですが澄み切った空間が現出し、広大な音響空間を感じさせるのがADの方。高域のキラキラ、サラサラとした微粒子感でもADが上。なにより人口臭を一切感じさせない点でADに一日の長があります。

 

次にAerial Boundaries。

1曲めのタイトルトラック。ADの方は、臓腑を抉るような壮絶な破壊力、ナタで大木をぶった斬るような切れ味を見せる好録音です。が、CDやストリーミングはすっかり牙を抜かれてなんとも上品で無難な音楽となってしまい。生々しさ、目の覚めるような切れ味、破壊力が2歩も3歩も後退します。

 

物理特性だけで言うならば、ディジタルやCDはADに比べて圧倒的にクロストークが低く、音場感に有意なはず。ランブリングやワウも低域共振もないから超低域再生でも有意です。なのに、、、なぜこんなに本質的な音色の違いが生じてしまうのか、スペクトルを眺めているだけでは論理的解がないので、困惑するばかりです。