「今の価値観で判断するだけではなく,当時の歴史観から歴史を見ることが大切である」


どこかで聞いた台詞だ。



戦争に圧倒的な力で負け,広島や長崎に原爆が落とされた

アメリカに戦いを挑むなんて異常なのではないか


戦争に負けた事実を知っていて,戦争がない状態が60年以上続いている自分たちにとって

なぜ戦争をしたのか,首をかしげてしまう


しかし,世界の3分の2が欧米列強の植民地になっていた帝国主義時代の当時の価値観で考えたら

どうなのだろうか?



「私は貝になりたい」の豊松・房江や子どもたちの会話を見たとき

ふとそんな疑問を感じた



当時は夫が絶対の世の中で,あのようなほほえましい場面があったのだろうか?

現代の価値観で戦争の悲惨さを考えていないのだろうか?



しかし,ミスチルをエンディング曲にして中居や仲間由紀恵のキャスティングからは

若者にも見てほしいという意図も感じる


この意味では,現代の価値観をある程度踏襲しながら,

戦争の悲惨さについて関心を集められるのだろう



夫婦愛の観点から見れば,仲間由紀恵の夫に尽くす姿が印象的だ

「ごくせん」や「功名が辻」といい,女性の芯の強さを仲間由紀恵は魅せることができる



太平洋戦争で戦死した人

生き残ったが戦犯にかけられた人

生き残り戦後生き続けた人



同じ時代に生きた人であっても,自分の置かれた状況によって

太平洋戦争の捉え方が大きく変わるのだと思う



中居・仲間の周りに,石坂浩二,武田鉄矢,織本順吉をはじめ

脇を固めるベテラン陣を加えて

ダイナミックで問題提起できる映画にできたと思う



「生まれ変わったら 私は貝になりたい」


今もし戦争が起きたとすれば,自分もそう感じるのだろう


再び戦争を起こさないためにも,日本人が先の戦争を

しっかりと見つめる必要があると思う




現在の価値観ではない,59年版「私は貝になりたい」を見たくなった



私は貝になりたい (朝日文庫 は 31-1)/橋本 忍


私は貝になりたい <1959年度作品>