RECCOってしってます?スウェーデンRECCO社の

電子遭難者捜索システム。


 前回の雪崩ブログ絡みで書いてみようかと思います。


 RECCO?雪崩埋没した人を捜索の為に作られた

遭難救助システムです。日本国内では電波法の

規制によって使用が認められずにいましたが、

20156月からシステム運用の実用化に向け、

201632日に総務省・北海道総合通信局から

RECCO救助システム」の実験試験局が受理

されました。現在、世界のスキーリゾート

施設等の800以上の施設においてディテクター

が装備され、雪崩等により遭難した人の捜索に

使用された実績がります。日本では2016年に

RECCO 救助システム社会実験として実施されました。

 

先ず最初に書いておきますが、ビーコンと双璧を

成すようなシステムでは有りません。


日本の現状ではビーコン未装着者の捜索発見

を素早く行うシステムになるのかなという印象です。

厳しい現実ですが、遺体が発見されないと生命保険

が降りない場合があります。残された遺族にとって、

壮絶な時間の始まりでもあります。捜索が長引けば

警察などの捜索は中止され民間の捜索機関に自費で

捜索を依頼することになり莫大な捜索費用が発生

する場合もあります。RECCOの反射板の付いたウエア

を着ていれば捜索の対応地区内であれば発見は早く

なる可能性があります。あくまで可能性の話ですが。

 

システム的には下記の様なシステムです。

雪崩に巻き込まれ埋没した場合に専用の探索装置

から送信される電波が反射器へ照射されると送信

周波数の915MHz2倍の1834MHz前後の周波数が

戻ってくる。この電波信号を探索装置の受信機で

受信することで要救助者の存在位置を特定するこ

とができる。915MHz前後の周波数帯は比較的

雪に浸透し易く、電波は乾いた雪なら5m以上の

深さにまで到達して信号を返す。反射器から返さ

れる1834MHz前後の周波数帯は比較的指向性が

強い為、方向を特定し易い。この様なシステム

らしいです。

 

総務省:「150MHz 帯の電波を使用する登山者

等の位置検知システムに関する調査検討報告書」

https://www.soumu.go.jp/main_content/000350877.pdf

 

総務省:山岳・雪崩等遭難者電波探索システムの

ための周波数有効利用技術に関する調査検討報告書

https://www.soumu.go.jp/main_content/000477152.pdf

 

 


この様なマーク見たこと有りませんか?最近のハードシェルなどのウエアに付いている物が有ります。これは重さ4gRECCO反射器がウエアに付いていますってマークですね。

 



 上は自分のウエアの画像です。長細いのが反射板です。

登山者はビーコンの様に装着して電源を入れたりする

必用はありません。着用するウエアに反射器が予め

縫いこまれているので何もする必要が無いんです。

 軽いし、値段も高くないし(最初からウエアに付いて

いる※最近の物)、実は良い事ばかりでなく日本では

課題も多いんです。

 


現状の課題

 

・日本では社会実験が始まったばかり。

・捜索には専用の探索装置(R9ディレクター)が必要

現状、生存救助としての活用は難しい。

・探索装置(R9ディレクター)を配備している捜索

機関が少ない。

 

社会実験参加機関としてR9ディレクターを配備して

いる場所

・ニセコアンヌプリ地区なだれ事故防止対策協議会

・ニセコグランヒラフスキー場 パトロール隊

・中央アルプス山岳遭難対策協会

・栂池高原スキー場 雪崩対策チーム

KIRORO SNOE RESORT パトロール隊

北海道では、ニセコアンヌプリスキー場、ヒラフスキ

ー場とKIRORO スキー場のパトロールが持っています。

 



※山岳系では現状 

中央アルプス山岳遭難対策協会だけでしょうか。

 

・誰もが簡単に捜索出来ない。

欧米諸国はアマチュア無線で扱える周波数らしいです

が、極超短波 (UHF)915MHz1834MHz前後の微弱

電波を利用する為、日本では、陸上特殊無線技士

3級以上でないと捜索できない。

 

・雪崩事故の救助には初動捜索が最も重要ですが、

今の日本の現状では捜索隊がディレクターを持って

現場に到着するのに時間が掛かり、生存状態での

救助には向かない。

 

・日本では携帯電話のプラチナバンドに帯域が近い

為、実験実用に向けての動きが遅い。

 

まだまだ日本では課題が多く、社会実験運用が始ま

ったばかりのシステムではありますが、ショップに

行くとRECCOの赤いタグが付いたウエアが多く見ら

れる様になりました。色々な安全対策が進む中で

登山者も情報を集めて自分がどの様な装備を使って

いるのか?どの様に使って行くべきなのか考え直し

ても良いのではないでしょうか?

このRECCOの遭難者救助システム 雪崩では課題

は多いですが、夏のレインウエアなどに付いていれ

ば捜索には十分有効なシステムなのかなと思ったり

もします。ココヘリに似たシステムですね。大幅な

普及が進めばココヘリの強敵になるシステムかも

ですね。なにせ登山者はシステム自体を持参しなく

ても登山に必要なRECCOが付いた道具を持っていれ

ば良いだけですからね。

登山計画の緊急欄にRECCOのウエアを持っていって

いますと記載しておけば、もしかしたら捜索時に活用

してくれるかも知れませんね。

 

最後にもう一度書きますが、

現状ビーコンの代替えになる様なシステムでは有りません。

雪山には正しい雪崩知識、装備、情報を携帯して冬山を楽しみましょう。