■日本近海、酸性化進む CO2溶け込み生態系に影響も

海の生態系や漁業に将来、深刻な影響を与えると懸念されている「海洋酸性化」が、日本の近海でも進行していることが、気象庁の観測船を使った26年間の海水観測データで分かった。酸性化はハワイ沖やバミューダ諸島沖でも確認されているが、研究チームは「20年を超す連続観測で酸性化が加速しつつあることが裏付けられた」としている。
海洋酸性化は、大気中の二酸化炭素(CO2)が溶け込み、海水の化学的なバランスが崩れて、酸性度が増す現象。海水はもともと弱アルカリ性のため、酸性度が増すと、より中性に近づく。酸性化の進み方は海域によって異なり、南極海などで最初に生態系に大きな影響が現れると予測されている。
観測データを解析したのは、緑川貴・気象研究所地球化学研究部第2研究室長(海洋化学)、濱健夫・筑波大教授(生物地球化学)らの研究チーム。気象庁の海洋気象観測船が毎年行っている定期観測のうち、83年から08年までの海水(海表面)の化学データを使って、酸性度を表すpH値(水素イオン濃度指数)の変化を算出した。
(中略)
研究チームは「海水のpHの低下が日本近海でも加速しつつあることが確認できた。いますぐに生物に影響が出るレベルではないが、100年後には日本の沿岸にすむ生物に何らかの影響が出ることになるだろう」としている。
〈海洋の酸性化〉大気中のCO2が増えると海水のCO2濃度も上昇し、その影響で海水のpHの値が低下する。現在の海水はpHが約8.1の弱アルカリ性だが、酸性化が進むとpHの値が7(中性)に近づく。将来、貝類やサンゴなどの生物は殻や骨格を作りにくくなる恐れがある。人類が大気中に放出するCO2の3割は海が吸収するとされ、世界の150人を超す科学者は今年1月、海洋酸性化に伴う生態系の破壊を警告する宣言を発表した。
