ミルトン・バビットが昨日亡くなった。94歳。ニューヨークタイムズに結構長い記事が出ていた。


彼はプリンストン大学、ジュリアードで教鞭を取った。プリンストンは彼の師であるロジャー・セッションス(日本ではほぼ全く演奏されないが、アメリカのオケでは演奏される)の後を継いだ形だ。


バビットの作品だが、実際に現代音楽フェスティバル「June in Buffalo」の為に結成された金管アンサンブル「メタロフォニコ」でバビットの「金管ダブルセクステット(12人)の為のファンファーレ」を演奏、録音したのが思い出される。


ハーバード、エールもそうだが、アイヴィー・リーグの大学は優秀な音楽学と作曲科がある。ハーバードは、10年前に(まだ若かったニコニコ)教授のバーナード・ランズの招きで一週間アトランティックで行って作曲家の為のワークショップを教えた事があるけど、知的交流は面白いね。そのうちの作曲家の作品がオレ達のやった演奏会でライブ録音されて今はCDになってる。懐かしい。


バビットに戻るけど、第二ウィーン楽派のdodecaphonic、つまり12音(オクターブ内の12の音を一度ずつ重複せずに使用した列〔row, series〕によって曲を構成。基本型prime、上下反転inversion、逆行retrograde、反転逆行retrograde-invesionの音形パターンがあり、旋律的にも、和声、対位法的にも使える作曲法)のセリー技法をさらにリズム、強弱にまで拡張した手法で知られる。



ブーレーズ、シュトックハウゼン、ルイージ・ノーノ等の作曲家がそれで知られるが、バビットはそれを最初期からやり、それが広まっていったとされる(ソース:ニューヨークタイムズ)。


意外な所では、スティーブン・ソンドハイムもバビットの弟子である。



20世紀音楽に於いては極めて重要な存在。彼の死は惜しまれる。May he rest in peace.



何度も言うが、20世紀音楽の手法は難解なように見えて一緒である。それが何のために何を意味するのが解れば出来る。モダンアートや建築が好きな人ならきっとわかるはずだ。時代の必然である。ルネッサンスから、エオリアンとイオニアンに依る調性音楽が完成され、300年以上君臨したから、そこから離れた発想に大多数が拒否反応を示しただけなんだ。