私が多分小学校一年生頃か。
記憶が曖昧なのだけど。


私が幼い頃は、大型スーパーのゲーセンに子供を放置して、大人は買い物なんて普通だった。

私の地方はそうだった。


私は姉とゲーセンに放置され、いつのまにか姉とも離れゲームに夢中になっていた。


子供が大勢いたし、プラス、ゲーム機の音でうるさかった。私は完璧にゲームに集中していた。

右手に何かを感じた。


見ると、知らないおじさんが、私の右手のひらを指でなぞっていた。

怖くて見てるしかなかった。


周りの音が消え、私は時間が止まったように思えた。ものすごく強烈に覚えている。

まるで森で自分より大きな動物に襲われているようで、動いてはいけない、トドメを刺される。そんな気持ちだった。


自分の手が撫でられるのを黙ってみていた。


多分何秒かだろうが、私には何時間にも感じた。おじさんはどこかに行ってしまった。


家に帰ってたくさん手を洗った。そこまで覚えている。父と。私は陽気に振る舞っていた。そんな事誰にも言えなかった。


そこから少しして。

姉と私は鍵っ子だった。姉が友達と出かけた日、家電がかかってきた。

私が出ると、知らない男の人の声だった。

若い感じの。

「何年生?」と聞いてきたので「一年生。」と答えた。すると、「裸がみたいなあ。」と男は言ってきた。私はまた凍りついてしまい、そこで電話が終わった。


次の日も同じようにかかってきた。


私はとうとう怖くなって姉に伝えた。

姉に言えた事で、少しだけ安心できた。


そして今、私はあの時の私と同じくらいの年の息子を育てている。


私と息子で出かける場合は、トイレは誰でもトイレ(共用の)か、女子トイレの入り口でわざと大声で「息子くんごめんね、お母さん息子くんが悪い人に何かされたら心配だから今日は女の子のおトイレにしてね。」と言う。


何故かと言うと、子供でも女子トイレに男子を連れてくると怒る人がいるから。

めんどくせー世の中である。


それでも、何かあるよりマシ。私は彼を守るならなんでもする。


息子は嫌なことをちゃんと、私に話してくれる。心が繋がっている。それが嬉しいし、私の中の幼い私が喜んでいるのを感じる。


おかしな話だけど、私はたまに幼い私を息子にするみたいに抱きしめて言う。もう怖くないよ、大丈夫だよ、私がいるからねって。

それで癒されてる。


小さい子が好きな大人は明らかに病気なのだ。

リハビリ頑張って欲しい。 

簡単に社会に出さないで欲しい。


私が幼い頃体験した事によって、私は男の人が苦手になった。今でもたまに苦手だと感じる方もいる。(10代からも色々あり、またそれは別に書く)

家族も崩壊しかけだったし、そんな話を仲の良い美容師さんに話したことがある。


彼は「そのわりに真っ直ぐ育ったね!」と言った。確かにそうかもしれない。多少曲がったけど(笑)。


人によったらもっとひどく歪んだかもしれない。だから、お願いだから、大人は子供で遊ぶな。子供はひとりの人間である事をわかって欲しい。子供だからやっていい事はない。


それでひとりの人間の人生ってがダメになるのだ。


私は超鬼👹ババアだし、クレイジーなお母さんだけど、自分の傷を確かめながら息子に接している。どうかあなたらしく、自由に生きて欲しいと願いながら。


私は両親に言えなかった。なんならまだ知らない。

私は息子と心を繋げていよう。手が離れても、心は離さないでいよう。


青いトゲ


「ねぇ、ママ…」
アタシは名前が欲しかっただけなんだ
だってそう、乗り合いバスは巨大な空白への道をゆく
気づいてたの揺れるシートに沈んでく錯覚のような毎日
「ボウギョヘキダ、デタラメノゲンジツ」
耳の中で歌うちっちゃな虫達

青いトゲのありかを知る
このアタシはずっと無力で
自分の手では何ひとつ
くだすコトはできない

目をつぶって2号線渡れたら
クラスメイトは信じるかナ?
机の中 死にかけのジャムパン
同じ暗い穴はこりごりよ!
笑ってる冗談も言える
男性教師のケツをけとばすコトだってできる
恋で胸、痛むのも知ってる
そのために前髪を伸ばしたコトだってある

青いトゲのありかを知る
このアタシはいつも黙って
誰かの手がふれるまで
待つコトしかできない

青いトゲのありかを知る
このアタシはずっと無力で
自分の手では何ひとつ
くだすコトはできないの、ないの
ねぇ、ママ アタシは何のためにこのトゲを抱える…
ただ少しだけアタシの名前を呼んで欲しかった
青いトゲのありかを
自分の手では何ひとつ
くだすコトはできないの