手わざ -琉球王国の文化-@トーハク平成館の覚書です。

 

3月某日、上野で1日遊びました。楽しかった!ゆっくり記録していこうと思います。

今日は、ポンペイ展のあとに観たこちらの展示をメモ。

 

 

独自の文化と歴史を形成した琉球王国。

卓越した技術でつくられたその王国文化財の、模造復元品を紹介する展覧会。

 

戦災や近代化で失われた琉球王国の文化財を、21世紀の研究者と職人の協働により調査・研究し、製作技術の復元を行う「琉球王国文化遺産集積・再興事業」の巡回展です。

 

東洋館そばの紅梅、きれいでした🌸

 


 

 

聞得大君御殿雲龍黄金簪(きこえおおぎみうどぅんうんりゅうおうごんかんざし)」(模造復元品)

 

16世紀頃に製作された、黄金のかんざしの模造復元品。

琉球王朝時代の最高の女性神官・聞得大君が使用したもので、原資料は沖縄県指定有形文化財。

 

ドーム型の部分はグレープフルーツほどの大きさで、こんな重たそうなものを頭につけたら首もげそうと思ったけれど、内側は空洞になっていて非常に軽いそうだ。

 

厚さ0.4mmの銅板を打ち出して、雲龍などの紋様が非常に細かに表現されている。

 

 

模造復元品は、原資料について調査・研究を重ね、可能な限り同じ材料と技法を用いて、製作された当時の姿を忠実に復元している。

レプリカのように経年変化は表現していないので、金色の輝きが一際鮮やか。

 

 

 

 

 

黄色地鳳凰蝙蝠宝尽青海立波文様紅型綾袷衣裳 ( きいろじほうおうこうもりたからづくしせいがいたつなみもんようびんがたあやあわせいしょう(」(模造復元品)

 

原資料は国宝・琉球国王尚家関係資料。

 

ラノベの長文タイトル並みに説明し尽くされた作品名のとおり、ロイヤルカラーの黄色地に、鳳凰や瑞雲、コウモリ、立浪などの中国的な吉祥紋を散らした色鮮やかな紅型衣裳。公式な場面で着用したとされる。

 

 

袖にコウモリ。かわいい。

 

製作工程の紹介。

 

原資料から模様を起こし、作られた型紙は27枚。

型紙を当てた生地に糊を塗って防染し、模様部分に色を差してゆく。

模様に立体感を出す「隈取り」をしたら、再び模様部分に防染糊をつけ地色を染める。

水につけて糊を落とすこと半日以上、最後に鳳凰やコウモリの目を入れて縫製となる。

 

 

 

朱漆巴紋沈金御供飯 しゅうるしともえもんちんきんうふうくふぁん 」(模造復元品)

 

高温多湿な沖縄は漆と相性の良い地域で、王国時代には王府御用や献上品の漆器製作を専門とする役所も設けていた(貝摺奉行)。

 

本作は王家で使用された祭祀道具、御供飯 うくふぁん 。原資料(亡失)は17〜18世紀のもの。

S字の足がついた蓋付きの盆は琉球漆器独特の形。琉球王家を象徴するとされる左三巴紋が入っている。

 


復元に使用された道具と材料の紹介。

金箔は金の含有率で色の見え方が異なり、本作では3号箔が使われているとのこと。

右下、金色の出方が比較されている。

 

 

 

 

「蛇皮線」(模造復元品)


沖縄音楽に欠かせない三線は、14〜15世紀に中国から伝わった楽器をもとに王府の指導によって製作されてきた。

本作は4ヶ所の接ぎ棹とべっ甲製の胴巻き等からなる類例の少ない作品で、製作技術が現代に伝わっておらず、原資料や類似資料の調査をもとに復元されたという。原資料は東京国立博物館所蔵。

 

 

 

「四季翎毛花卉図巻」 しきれいもうかきずかん (模造復元品)

 

琉球絵画の師であった中国の画家・孫億の代表作を、技術から材料まで忠実に復元。
かつて琉球王国の所蔵品であった孫億筆「花鳥図巻」を原資料として、完成に4年をかけた大作沖縄県立博物館・美術館

全長7メートルもの絵巻は、つなぎ目のない1枚の絹でできている。

 

 

 

 

…などなど。
模造復元品とレプリカとの違いや、復元された技法など、詳しく解説されていて興味深かったです。

沖縄復帰50年の今年、トーハクでは5月より特別展「琉球」 も開催。こちらも楽しみにしています。もいもいハイビスカス

 

 

 

 

 

おまけ

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弊限界過疎アカ、Gettyミュージアム公式様より

御いいねを賜り恐悦至極に存じ奉り候。

 

 

【概要】手わざ -琉球王国の文化-

会期:2022年1月15日(土)~2022年3月13日(日)

会場:東京国立博物館・平成館 企画展示室 (WEB

かつて沖縄は琉球王国であり独自の文化と歴史を有していました。本展は、その琉球王国に伝わる卓越した技術でつくられた、模造復元品をご紹介します。

「手わざ」とは、作品を製作する手仕事の高度な技術を意味します。沖縄県立博物館・美術館が平成27年度より行ってきた、琉球王国文化遺産集積・再興事業では、明治以降の近代化や先の戦争で失われた文化財とその製作技術の復元に努めてきました。この事業で完成した作品は、絵画、木彫、石彫、漆芸、染織、陶芸、金工、三線に至る8分野と多岐にわたり、携わった専門家、技術者は県内外100人以上にものぼります。沖縄復帰50年を迎える令和4年(2022)、王国文化とそれを守り伝えてきた人々の努力に、思いを馳せてご覧ください。

🔗関連リンク:手わざ -琉球王国の文化-(沖縄県立博物館・美術館)

 

 

手仕事と工芸をめぐる大人の沖縄 (COMODO) [ 小沢典代 ]

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