今週の「美の巨人たち」は、ドガの《マネとマネ夫人像》でした。
北九州市立美術館所蔵。あっここの設計者、美術検定の問題に出てた!(o^∇^o)


エドガー・ドガ《マネとマネ夫人像》1834-1917

どこか退屈そうで心ここにあらずといった面持ちで、ソファの上でくつろいだ姿のマネ。
その前方にいるのはピアニストのマネ夫人のはずですが、なぜか顔を隠すように絵は切り取られている。
そのため手元は失われて見えないけれど、姿勢からピアノを弾いているところであろうことが想像できますね。

この夫人の部分を切り取った犯人は、なんとマネ自身。ヮ(゚д゚)ォ!

これは事件ですよ!事件簿ですよ!ということで、絵画警察が動き出しました。
わーい絵画警察編好きです(∩´∀`)∩

画像:美の巨人たち


サーチドガからマネへ贈られた絵


では、捜査の状況をメモしていきます。

この絵は、ドガからマネに贈られた絵だそうですね。


印象派をけん引し、よき友でありライバルであった二人は、互いに自作の絵を交換した。

しかしマネは、贈られた絵の中の夫人の顔が気に入らず、バッサリこのように切り取ってしまったのだとか。この構図のほうが良いと言って。

その後、マネ邸を訪れたドガは、変わり果てた自分の絵を見て大激怒!(╬♛ 益♛ ) ナンジャコリャー
絵を取り返し、挨拶もせずに持ち帰った…という曰くつきの絵でございました。


後にマネは夫人の姿を別の絵に描き残したとか。

マネ《ピアノを弾くマネ夫人像》1868, オルセー美術館|画像:ヴァーチャル絵画館

切り取られた夫人のお顔、いったいどんな風に描かれていたのでしょうね。
その部分は捨てられたそうなので、もう想像することしかできないですが。


サーチマネが妻の姿を切り取ったワケとは


しかし、なぜマネは夫人の顔が気に入らなかったのか?

そこんとこ気になってましたのでワクワクで待ち受けていますと…
そこで登場したお話がハイ、巨匠さま方恒例の女性問題でございました。デ、デタ━━(´Д`)━━!!


マネ様もまた女性関係に派手な殿方であったそうで、この絵が描かれた当時お熱だったのはベルト・モリゾ。
夫婦関係も穏やかではなかったそうで。
ピアノを弾く妻の傍らで心ここにあらずなマネの様子は、モリゾへの思いに耽っているのか。


マネ《すみれの花束をつけたベルト・モリゾ》1872年|画像:wikimedia

ちなみに、ベルト・モリゾはマネの弟と結婚していますよね。
なんかこのパターンもけっこう聞く話のような…ロセッティとジェーンとウィリアム・モリスみたいな。ま、ええか。


内気で皮肉屋だが、瞬間の人の心情をとらえる目はピカイチだったドガ。
ドガの筆にかかれば、危うい夫婦の心模様が絵にも表れてしまったのではないか、とのことでした。
(対するマネは朗らかな性格でリア充…というお二人の性格を聞いて、あーナルホド、うんうん笑)

そんなドガが描きとめた妻の表情に、マネは心が乱されたのかも?しれませんね。


サーチ《マネとマネ夫人像》事件には、第3者の存在?


さてさて、最後にもうひとつ事件の真相が明かされていました。



ぷんぷくりんむかっでマネの家から絵を持ち帰ったドガですが、その後ドガが残した自宅の写真には、切り取られた構図のままで壁に飾られているあの絵が写っていました。

ということは、後に誰かが余白のキャンバスを継ぎ足して今の形になったということ。
ドガとマネのこのエピソードを、より効果的に語るために。
確かにそうしたほうが、一目で切り取られたことがわかるでしょう。

では、なぜ効果的にしたいのか?それは、その方が価値が出て高く売れるから。
そう、画商の仕業ということでございました。ドガのサインを模したスタンプまで押して。
この業界は魑魅魍魎の世界である~なんて締めくくられていました。

それにしても、マネを見たことがある人がこの絵のマネを見れば、似てるなんてもんじゃないくらい、マネそのものだとか!
曰くも様々あれど、マネの肖像画としても逸品とのことでした。


ではでは~もいもい本官さん