PEUGEOT 206 WRC 1999年WRC参戦記録①

 

【ツール・ド・コルス】5月7日~5月9日
14:デルクール 206 MTB 75 SS17 リタイア
15:パニッツィ 206 MTC 75 SS12 リタイア

 

デルクール、パニッツィがワークスエントリー。グロンホルムはエントリーされず。デフの仕様はセンターのみアクティブで、フロントとリヤは機械式。ブレーキはフロント・6ポッド/355mmのディスク、リヤ・4ポッド/300mmのディスクを装着。
 
13年ぶりとなるプジョーのWRC参戦で、いきなり206WRCが鮮烈なスピードの片鱗を見せつけた。SS1こそデルクールが4番手、パニッツィが8番手に甘んじたものの、その後のSSでシトロエンのクサラと上位を分け合う快足ぶり(デルクールは、SS2のスタート前にエンジンが掛からなくなってプッシュスタートとなるも2番手タイムを記録。続くSS3~4でも2番手タイムをキープした)を発揮。Leg1・SS6後のサービスにおいてパニッツィが10秒のペナルティ(サービス作業が手間取ったため、タイムコントロールに1分遅れてしまった)を受け5位に後退するも、僚友のデルクールが2位に食い込むなどフレンチデュオが206WRCのデビュー戦勝利をも感じさせる勢いでLeg1を駆け抜けた。しかしLeg2では、ブガルスキーとピュラスを擁するシトロエン勢を相手に熾烈な争いを見せたものの、若くて未成熟なマシンであるが故のトラブルが徐々に出始める。まず、SS9終盤にハンドリングが不安定(釘を拾ってステアリングを壊したこととデフがロックしなくなったことが原因)になったデルクールが、SS10で激しくサイドウェイしてタイムをロスしたことで5位に後退。さらにSS10後のサービス(20分間)では時間的に壊れたセンターデフの交換が出来ないことから、センターデフを機械的にロックして走るという応急処置と傷めたステアリングラックの交換をしただけで最終セクション(SS11~12)に臨まなければならなくなり、その順位を7位まで下げた。一方のパニッツィは、酷いアンダーステアに悩まされながらもSS7~10まで6位をキープ。しかし雨のSS11半ばで、燃圧トラブル(レギュレーターの不調)からエンジンが止まっては掛かる現象が発生。続くSS12でも電気系のトラブルが発生したことから、ステージ中にストップしてのリタイアとなってしまった。パニッツィがラリーから去ったため残るデルクールに完走が求められたLeg3であったが、SS16でステアリングとギヤボックスが壊れて3分近いロスタイムとトラブルが止まらない。そして迎えたラリーの最終ステージ(ボーナスポイントが付く初のライブTVステージとなった)SS18。ゴールを目前にしたデルクールに電気系のトラブル(*)が発生、無念のリタイアをせざるを得なかった。
*リタイアの原因は油圧系統とセンターデフの両方に起因する駆動系トラブルともされた。

 
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【アクロポリス】6月6日~6月9日
14:デルクール 206 MTB 75 SS19 リタイア
15:グロンホルム 206 MTC 75 SS2 リタイア
 
デルクール、グロンホルムがワークスエントリー。パニッツィはエントリーされず。デフの仕様はセンターのみアクティブで、フロントとリヤは機械式。 サスペンションは、ストロークの延長と共にダンパーのセッティングが変更された。各種パーツは強化タイプのものが使用され、アンダーガード類もその数が増やされている。事前テストは、コルシカのイベント終了後にシャトー・ラストールで2度にわたり5日間行われた。

 

SS2でスロットルがスタックする症状が出たデルクールは、SS3のジャンクションでオーバーシュート。その復帰に手間取りタイムロスするも、続くSS4で3番手のタイムを出して総合4位につけた。しかしSS5でエンジンからのオイル漏れが発生(パンクも発生)、SS6では岩をヒット、サンプを傷めてオイル漏れが発生(SS8後のサービスで修理に手間取り10秒のペナルティ)とタフネスロードに苦戦を強いられ、Leg1を8位と順位を下げてしまった。初のグラベルラリーとなる206WRCにとって翌日のLeg2も茨の道となり、満身創痍の体となる。まずSS10で右リヤのサスペンションポールジョイントを傷める。続くSS11では左フロントタイヤにダメージを受ける。さらにSS15で左フロントがパンク。SS16においてはゴールまで5kmのところでコースオフしてしまい、左フロントのショックがボンネットから突き出るほどのダメージを負った。これに対しプジョーは、大ペナルティを覚悟でリペアを敢行。(結果として1分10秒のペナルティを受ける)それでもデルクールはこうしたトラブルをくぐり抜け、灼熱の悪路を擁するLeg2をなんとか5位で走りぬいた。続くLeg3。デルクールはSS17で負った左リヤショック、フロントサス、リヤデフのダメージに対して1分40秒のペナルティを受けながらも、SS19前のサービスで足周りとリヤデフデフを交換して完走を目指したが、SS19でギヤボックスを壊して、ついにリタイアとなった。TVライブされたSS1でベストタイムのグロンホルムは、続くSS2のウォータースプラッシュで浸水しストップ。再スタートを試みるも、クラッチを傷めてリタイアに追い込まれた。

 

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【フィンランド】8月20日~8月22日
14:デルクール 206 MVB 75 9位・+9分54秒4
15:グロンホルム M-4040 4位・+1分32秒2
16:パニッツィ 206 MVA 75 33位・+32分47秒2

 

デルクール、グロンホルムがワークスエントリー。パニッツィはワークス外のエントリーとされた。デフの仕様はセンターのみアクティブで、フロントとリヤは機械式。 エンジンの防水処理が入念に施された。ギヤボックスのケーシングに内蔵されたギヤそのものを強化して耐久性を向上させた。コイルスプリングのバネレートを変更。アンダーガードを軽量化。事前テストは、7月初め(10日間)と8月初め(6日間)に行われた。尚、フィンランドラリーの前哨戦とされるマンタラリー(ローカルイベント)でグロンホルムが優勝し、206WRCにとって初の勝利を飾っている。
 
SS1においてパワーステアリングからのオイル漏れ(SS3後のサービスでシーリングを交換)が発生するも、SS5~6でベストタイムを記録したグロンホルムが、Leg1(SS合計距離82km)で首位に押し上げられ、勝負所と目されるLeg2(SS合計距離201kmの長丁場)での先頭ランナーというハンディを負うことになった。そのグロンホルムはLeg2最初のSS8でベストタイムを出したものの、硬い路面に積もった埃の掃除役となり、徐々に順位を落としていった。さらにSS14終了後のサービスにおいてサービスクルーのミス(デルクール車にオイル漏れがあったことから、サービスアウト直前にグロンホルムの車を再点検。その際、パワーステアリングのオイルを漏らすミスが発生。その修理で50秒のペナルティが科せられた)が起こり、優勝圏外からも去ってしまった。その後のSS16でスピンを喫したグロンホルムであったが、SS17&20でベストタイムを記録するなど上位に留まり続ける走りを見せ、206WRCにとっての初ポイント獲得につなげた。SS7ゴール後にクラッチトラブルが起こったデルクールは、SS10でスピン、SS12でフロントデフにトラブル(この影響からSS13では40秒ほどをロスする)、サービス毎にサスペンションを変更するなど苦しいラリーを強いられた。パニッツィは、SS11において電気系トラブルが原因でストップ。その応急修理のため20分ほどをロスし、15位から58位へと大きく順位を落とした。しかし最終的には完走を果たし、その順位を33位まで戻した。

 

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