時計の針が20時をまわると、3~4人の男性客グループがぽつぽつと入店してきた。


どうしよう… もう逃げられねぇぇ (´□`。)



10人くらいの女の子たちが、お店の端っこのソファで雑談していた。


とりあえずわたしもそこにいる。


「エリさぁーん、おねがいしまーす。」


「はぁ~い」

ルカさんに呼ばれたコから順番に、お客の席につかなければいけないらしい。




「カナさぁーん、おねがいしまーす。

 だいじょうぶだから。お客さんの話聞いてればいいから。ね。

 はい、行っといでっ♪」


ルカさんに連れられテーブルにつくことに…



うあああぁぁぁ ヘンな緊張感が…




「今日から入ったカナちゃんでーす!

 よろしくしてあげてねー♪」


「よ…よろしくです~…」


「おーっ新人かぁ。よろしく~!」


お客さんはほろ酔いらしく、ぺらぺらとしゃべってくる。


わたしはテキトーに話をあわせた。


それから、テーブルを何回か移動し、気づいたら23時半。





「カナ、こっちきて。」


宮崎さんに呼ばれた。



「どうだった?だいじょうぶだったろ?

 続けられるよね。

 次いつ来れる?」


「木曜はどう?入れるー?」



「あ…だいじょぶです…」


宮崎さんとルカさんに、当たり前のように次回のバイトのシフトを組まれた。





でも、思ってたよりラクなバイトだなぁ…


時給もいいし、お酒も飲まなくていいし…


ちょっと続けてみよっかなぁ…うん…




帰り道、そんなことを考えながら自転車のペダルをこいだ。


こうしてわたしは思いがけず、水商売の世界へ入ってしまったのだった…。