小説・カリスの金貨35
第一章【カリスの使徒】No.34

「そんな…合成人間だからって…あんまりだわ…。」

多くの弁護士にシークの弁護を断られたクエンはレイアと共に途方に暮れ、次の日を待つしかなかった。

そして裁判の日―。

「シーク・ブラインド、面会だ。」

監守が留置場の鍵を開け、面会室へ向かう。

「シーク!」

「クエン先生!レイアさん!」

「大丈夫?身体壊してない?」

「うん、僕は大丈夫、ちゃんとレイアさんから言われた事守ったよ。わかってる事みんなジェストリスの人に話した…でも…なんか大変な事になっちゃった…。」

「聞いたわ…3人組だったって…。」

シークの目付きが変わる。

「…。リーヤを…リーヤを撃ったあいつら…許さない…。そしてあの眼帯の男…。」

「その男の名前は…ギア・クレイドル…第一級の凶悪犯よ…。」

「ギア…クレイドル…。絶対…絶対…許さない…。」

「シーク…。今日の裁判の事なんだけど…。私達の力では任意の弁護士を雇う事は出来なかったの…だから今日の裁判の弁護士は帝都推薦の人間…あなたに対しては何も有利な材料にならなかった…ごめんなさい…。でも私は裁判が公平ならあなたは必ず無実になると信じてる…だから裁判でもジェストリスに答えたことの様に答えて。」

「分かったクエン先生、僕頑張るよ。」

面会を終えさほど時間がかからず裁判が始まった。

「これより…ソンバーグ一家殺人事件の被疑者の裁判を行う。被告人…シーク・ブラインド前へ。」

「はい…。」

ざわつく傍聴席。

「あれが噂の合成人間か?まだ少年じゃねえかよ、かぁー幼い顔して大胆不敵な野郎だな~。」

イラつくクエン。

「そこっ、静かにして!」

「なんだとぉ!この女ァ!」

「傍聴人はお静かに!」

「先生…落ち着いてください…。」

「ごめんなさいレイア。」

「!?」

「どうしたの?レイア。」

「先生…あの陪審員の上…帝都六王位の内…3人が…たしか…カルアル卿…クレアデス卿…そしてもう一人はガザール卿…。」

「こんな小さな裁判に王位が3人も?どうして…。」

裁判所の来賓傍聴席からニヤつきながら裁判を見るガザール。

「この裁判がクレイドルが起こした犯罪だな…そしてあの小僧が身代りか…。」

そこへ付き人がガザールに耳打ちをする。

「ガザール卿…JIPSから連絡です。」

「なんだと?あの小僧がブライアンの息子?…。」

続く