安倍晋三総理(自民党総裁)は3日、都内で開かれた憲法改正を訴える会合にビデオメッセージを寄せ、「2020年を、新しい憲法が施行される年にしたい」と表明した。
戦争放棄などを定めた9条を維持した上で、自衛隊の存在を明記する文言追加するよう提案。憲法施行70年の同日に、「悲願」である改憲実現への決意を改めて示した形だ。民進党など野党は一斉に反発した。
各論に入る前に、「憲法改正」がどのようなものか、説明する。正確を規するため、少々、難しいため、ご勘弁願いたい。
日本国憲法改正の手続きは96条に定められている。衆参両院でそれぞれ総議員の3分の2以上の賛成によって国会が発議し、国民投票で過半数の賛成が必要。2007年5月、第一次安倍内閣で具体的な手続きを定めた国民投票法が成立した。投票法基づき、憲法に関する総合的な調査を行い、改正原案を審査する憲法調査会が07年8月、衆参両院に設置され、審議が続いている。これまでに憲法が改正されたことはない。
今回のビデオメッセージは自衛隊を憲法に位置付ける手法に関し、現行憲法に必要な条文を加える「加憲」を掲げる公明党に配慮した可能性がある。
ただ、衆参両院の憲法審査会の論議は十分に進んでいるとはいえず、改憲への国民の賛否も割れている。総理が18年9月の総裁選で勝てば、任期は21年9月までとなるが、思惑通り在任中に改憲できるかは見通せない。
9条改正への国民の懸念は根強く、拙速で進めば厳しい批判を浴びかねない。賭けに出た総理には高いハードルが待ち受ける。北朝鮮情勢の緊迫化を背景に国民の理解を得られると踏んだのだろうが、安全保障分野で正面から踏み込んだとの見方もある。
新聞、通信社等の各種世論調査では、安倍政権の下の改憲に過半数が反対と回答している。
あくまで、私見だが、安倍さんが第一次内閣でやれなくて、やりたいことは、「靖国神社の公式参拝」と「憲法改正」だろう。その地ならしのため、アベノミクス政策をぶち上げ、経済がゆるやかに回復基調にあるためもあって、内閣支持率は50%~57%で推移している。
だからといって、今回の暴挙は許すことはできない。安倍さん、ちょっと調子に乗りすぎていませんか。