昼前に発生した火災は折からの南風で見る間に広がった。新潟県糸魚川市のJR糸魚川駅前の市街地で22日起きた大火は、古い町並みをなめ尽くすように約7万5000平方メートルを焼き、10時間以上たった午後9時前にほぼ消し止められた。商店主や住民らはショックを受けた表情で、消防や自衛隊員らによる懸命の消火活動を見守った。
火元とみられるラーメン店で消火活動した市消防本部の消防士が22日夜、取材に応じ、強い風にあおられた火が約100メートル離れた建物に飛び、火の手が急速に広がったと証言した。
現場は雪よけのためのひさし「雁木(がんぎ)」が連なる市の中心部で、木造の商店や住宅が密集している。
消防士によると、ラーメン店は隣接店との間に隙間(すきま)がなく、多方向からの放水が難しかった。現場到着時には、火は既に他の建物にも広がっていた。延焼を防ごうと1時間ほど消火活動をしていると、消防団員が「向こうでも煙が出た」と走ってきた。現場からそれぞれ北西と北東に100メートルほど離れた2カ所の建物からほぼ同時に出火。間の建物が無事だったことなどから屋根に飛び火したとみられる。
消防団に放水を依頼したが、下から屋根の火を消すのは難しく、火は屋内に侵入した。こうした飛び火がこの後も続いたという。
国土交通省によると、各地の木造密集地について、燃え広がりやすさなどを基準に「地震時等に著しく危険な密集市街地」が指定されている。今年3月末時点で16都府県で約4400ヘクタールに上るが、東京都など大都市が中心で新潟県には指定地区はない。ただ、糸魚川市史によると、今回火災があった大町周辺では1928(昭和3)年に105棟を、西側にある横町では1932(同7)年に380棟を全半焼する火災が発生。たびたび大きな火災に見舞われた地域だ。
22日は、日本海に低気圧が発達し、北陸地方や北日本で強い風が吹き荒れた。新潟地方気象台によると、糸魚川市周辺で低気圧に向かって南風が強まり、同市に午前5時過ぎから強風注意報が出ていた。正午過ぎに最大瞬間風速24.2メートルを観測した。