私は映画評論も仕事としている。ひさしぶりにいい映画を観た。
タイトルは「僕の妻と結婚してください」
簡単なあらすじ。
テレビ業界の第一線をひた走る放送作家が余命宣告を受け、
家族に残す「人生最後の企画」のため奮闘するさまを樋口卓治の人気小説を映画化。
愛する妻子の幸せのために、残された時間を使って妻の最高の結婚相手探しに奔走する主人公・修治を織田裕二が熱演。彼の妻を吉田羊、修治が見初めた妻の結婚相手を原田泰造、結婚相談所を営む修治の元仕事仲間を高島礼子が演じる。
監督は『県庁おもてなし課』などの三宅喜重、脚本を『電車男』などの金子ありさが手掛ける。
もう少し、述べる。
修治はテレビのバラエティー番組の放送作家として、45歳の役を演じていた。が、末期のすい臓がんで余命半年と宣告されてしまう。
ショックを受けながらも家族のため何ができるかと考えた彼は、自分の代わりに家族を支えてくれる人を見つけようとする。
そこで、以前一緒に仕事をしたことがあり、今は結婚相談所の社長である高島礼子に、自分が世を去った後の妻の結婚相手を欲しいと頼む。
奇跡的に相手が見つかったのだ!。相手は慶応大学経済学部卒のインテリア関係会社社長の原田。原田は今一つ、ときめきを感じて結婚したい相手が見つかることができず、高島に仲介を頼んだ。本来なら、「犯罪」だ。
原田は吉田羊のプロフィール(もちろん偽造)を見て、すっかり気にいってしまう。織田は高島の会社の社員という度重なる重罪。原田に吉田の魅力を吹き込む。
そして、女性アイドル(AKB45)と不倫しているところをわざと吉田に見せて、離婚届を出した。吉田が再婚をするには、それしかなかったからだ。何とそれが写真週刊誌に載ったのだ。
もちろん、それは演技。そして、織田は家を出て行った。が、その織田のそのシナリオを書いたメモ帳をうっかり忘れてしまった。そのメモ帳を吉田は発見。メモ帳を取りにもどった織田と吉田が鉢合わせ。
当然、吉田は織田を責め立てた。このシーンが泣かせた。
私は拙著『双極性障害~患者として、新聞記者』(無明舎出版)で自分のこれまでの一生を書いている。
双極性障害という病気で最愛の妻と職を失いながらも、ジャーナリストとして再起し、今に至る旨をしたためた。
だから、映画館で涙を流したのだ。年甲斐もなく。
吉田は原田と“共謀”して、結婚の直前まで織田に見せつける。
織田は安心してあの世に逝った。
実はこれが逆の吉田と息子の「演技」。観るものとしては二転三転するわけだから、波長は鋭かった。
夫婦には夫婦にしかわかりえない関係がある。
この作品には、従来の紋切り型にみられる悲壮感がない。
むしろ、コミカルには話を進めていく。
私はかつて、同じ闘病記である役所浩司が演じた映画評論を書いたことがあるが、それとは一味違った趣があった。
文句なく「名作」だ。監督の三宅と織田をはじめとするキャスト、スタッフに心からありがとうといいたい。