今朝の朝刊で読んだ。

タイトル「沖縄返還の米負担費」。

西山太吉元毎日新聞記者を思い出す。

「西山事件」とも呼ばれる。


外務省は24日、第二次世界大戦直後から、

1980年代までの外交文書38冊を一般公開した。


72年5月の沖縄返還に伴い、米軍用地の現状回復に関する保障費をめぐり、

日本政府が返還協定に調印する約1年前から、

米側の負担(400万ドル)を検討していたことが分かった。


対米交渉が本格化する前で、のちに、前向きの米側が支払う形にし、

実際は日本が負担する日米密約に発展する対応方針が、

早い時期から議論されていた。


「西山事件」であるが、当時の外務省の女性職員と、

恋仲になり、機密情報を流した、とされている。

それで、二人とも逮捕される。


だが、一審では無罪。

西山がこの密約文書を手に入れ、当時の社会党衆院議員にこの密約文書を手渡し、委員会で槍玉にあげた。


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二審、三審と有罪。

なぜか?

本筋の日本政府の現状復帰の肩代わりという問題を、

いつのまにか、西山氏、と女性職員との関係にスライドしていって、

三流週刊誌が大大的に報道されたからである。


つまり、機密文書のことがあったのか、なかったのか。

そういう本質的問題を反故にして、

異性関係にばかりに視点を集めた。


言ってみれば、「世論操作」ではないだろうか?

私は西山氏のかなり年少ではあるが、会社の後輩に当たる。

『沖縄密約』(岩波新書)も読んでるので、この手の話はかなり得てになった。


西山元記者は、東京本社政治部で、かなりのやり手の記者だったという。

結局は当局のスケープゴートにされたのであろう。

仕事ができる人だった上、惜しい人材ではあった。


最後になるが、佐藤栄作元首相は、この沖縄密約の張本人なのに、

なんと、ノーベル平和賞を受けている。

皮肉というか、自己矛盾というか、何か不思議な気持ちになった。