少し長くなりますが、ご了承ください。
今回は書評というより、〇章の小見出しで、ご紹介いたします。
この本のタイトルは、日本劣化の正体(元福島県知事・佐藤栄佐久)(ビジネス社)です。ちなみに私の高校の先輩にあたります。私は早稲田卒ですが、この方は東大法学部卒です。
第1章 「原子力ムラ」との闘いの18年
「原子力ムラ」にいいなりの安倍政権
「スラグィチ5原則」
「原子力ムラ」とはなにか
闘う知事として
知事になってわかった東電の隠蔽体質
国も同じ穴のムジナ
小冊子「あなたはどう考えますか?日本のエネルギー政権
美浜原発の事故と柏崎刈羽原発の活断層
核燃料サイクルはなりたたない
プルサーマルをめぐる国の不実
原発政策の民主主義化を求めて
迷走するプルサーマル発電
宗教と化したプルサーマル
経産省内の暗闘「19兆円の請求書」
核燃料税の引き上げをめぐる攻防
力ずくでも進める
「エネルギー政策検討会」での議論
米国からの内部告発
原子力ムラの総本山で対決
原子力ムラの反撃「大停電がやってくる」
狭まる「佐藤包囲網」と運転再開
「行列のできる法律相談所」の著名弁護士
プルサーマル計画を受け入れた福島県
第2章 脱原発知事を抹殺せよ
メデイアによる「人物破壊攻撃」
知事辞任そして逮捕
冤罪のつくられかた1「共謀」
兄弟の相克
冤罪のつくられかた2「天の声」
収賄額「ゼロ円」の高裁判決
官製談合事件の背景にあるもの
東京地検特捜部の劣化は由々しき事態だ
最高裁台小法廷の問題点
第3章 福島原発事故と奥只見水害がほぼ同時に起きた意味
震災災害は「ダム災害」ではないのか
淵源は戦後すぐの奥只見開発にあり
只見川の群の姿
中谷宇吉郎博士の論文の論文「ダムの埋没」
恐るべきダム埋没の実態
原発は「悪」、水力は「善」の誤ったレトリック
第4章 日本は「原子力帝国」だった
「プルサーマル不承認」をひっくり返した福島県
なぜ、三号機のMOX燃料について報道がないのか
「最終処分場は青森と福島で相談して決めろ」
日本は「原子力帝国」だった
フクシマと共に生きる「共生の思想」を
福島の汚染土が送られてきた環境省
原発事故と「特定機密保護法」
ドイツ公共放送局の「フクシマの嘘」
日本政府の被ばく対策は受け入れがたいほどひどい
第5章 私の東北学「光はうつくしまから
東北はまだ植民地だったのか?
戊辰戦争の賊軍とされた会津藩
白虎隊と日本松少年隊
過酷すぎた「会津への処分」
福島の自由民権運動
「近代化」のもとで強いられた犠牲
「会津」に思う
安藤昌益が私の政治の原点
安積良賽に学ぶ
光はうつくしまから
最終章 これからの福島と日本をどうすればいいか
二人の元総理、原発ゼロへ
瀬戸内寂聴さんと吉永小百合さん
歴史学者・朝河寛一の警鐘「変わらぬ国は滅ぶ」
「吾人須らく現代を超越せざるべからず」
といった具合です。
この本の要点は、福島県側から、水力発電、もしくは原発によってもた
らせられた電力が、首都圏に送られているにもかかわらず、その実態
があまりにも知られていないことにあります。由々しき問題です。
あと、文中で毎日新聞特別編集委員が出てくる山田孝男氏ですが、
私が福島県白河通信部勤務時代、福島支局次長(デスク)お世話にな
なった方です。
この著書は、原発にかなり食い込んだ内容になっていますので、一県
だけの問題ではなく、オールジャパンの問題です。
読み応えのある書ですので、お勧めいたします。