岡山県警は19日、岡山県倉敷市で下校途中に行方不明になっていた市立小学校5年の女児(11)を岡山市北区の男の自宅で発見、保護し、この男を監禁容疑で現行犯逮捕した。


女児は今月14日、午後4時ごろ1人で学校を出た。同4時半ごろ、学校から約2㌔離れた自宅近くで、銀色の車に乗った男が女児に話しかけているところを同級生に目撃されたが、そのまま帰宅しなかった。


まずは、最悪の事態だけは免れたことに、ほっとした。警察はこの事件で、公開捜査に乗り出したわけだが、それには、女児の人命を最大限尊重する意図があった。誘拐事件をはじめ、この手の犯罪は、高度な捜査手法が求められる。


逮捕の決め手になったのは、容疑者の車のナンバーの目撃情報があったからだ。そこでである。自慢になってしまうかも知れないが、1888年12月、私が記者2年目の時に、愛知県豊川市で日興証券勤務のOL拉致事件が起きた。


女性は宴会(アルコールは飲まず)の後、電車で最寄りの駅まで行き、ミニバイクで帰宅途中、何者かに車に押し込まれ、バイクを残したまま行方不明になった。近所の人の話では「きゃあ、何するの」との女性の声がしたとされ、拉致事件として翌日、公開捜査が始まった。


1週間後、女性は行方不明となった現場から、約5㌔離れた東名高速ノリ面で遺体で見つかった。体液の鑑定等から容疑者の血液型はA型であることが分かった。


捜査本部にも入っていない情報だったのだが、現場周辺では数人の女性が車で尾行されるようなことが起こっていた。たまたま、私はその話を市役所でキャッチし、関係者に聞き込みを続け、その車のナンバーを被害女性が覚えていたことから、裏をとって記事化した。社会面トップだった。


車のナンバーさえ分かれば、話は早い。陸運局で、4ケタのナンバーを照会し、コピーをもらう。それをしらみつぶしに、一件一件当たっていたのだが、私の書いた記事を参考に警察は捜査を進め、容疑者を逮捕した。


捜査本部が置かれていた当時の豊川署の署長が前同県警捜査一課長だった。「新聞に書かれた記事をたよりに捜査をする警察自体が情けない。あなたは一人で取材し、うちは50人態勢で毎日、聞き込み。部下にそれでもはずかしくないのかと、毎日、ゲキを飛ばしていましたよ」と語っていた。


今も昔も捜査の手法はそうは変わっていないのだなあ、としばし感慨にふけった。特ダネというものは、運もある。でも運も実力のうちだから、というふうに私はポジティブに考えるようにしている。


さて、岡山の監禁された女児や容疑者の名前が掲載されていない。これは確実に何かがあったととらえる方が普通である。恐らく重大なプライバシーにかかわることか、または、捜査上の問題、などが考えられるが、それ以上になると、週刊誌の登場となるだろう。新聞では書けない理由はたくさんあるはずだ。




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