最初にお断りだが、「心の病」と言っても、この場合、「精神疾患」のことを指す。
というのは、精神疾患は心ではなく、脳の病気であるからだ。
先ごろ、日本精神神経学会が新しく指針を出した。昨年、世界で広く使われている米国精神医学会の診断基準「DSM」が改定されたのを受けた。その翻訳をする中で、一部の病名を改めた。画期的と言っても良いと思う。
具体的に述べる。「「~障害」を「~症」と変えたケースが多い。
「パニック障害」は「パニック症」
「言語障害」は「言語症」
「学習障害」は「限局性学習症」--。
以上のようになる。
これまでの呼び方が使えなくなるということはない。同学会は「定着しなければ戻せばよい」という立場だ。
それに、厚生労働省は、米国のDSMではなく、世界保健機関(WHO)が定める国際疾病分類(ICD)を基に政策を進めている。ICDの次の改定は2017年なので、それまでは新旧の病名が混在する可能性が高い。
精神疾患の多くの場合、病名が与えるイメージが一人歩きをしてしまい、誤解や偏見を抱かれることが少なくない。病名を変えて、差別が消えるということはまず、ありえないが、今回のケースはその第一歩と考えても良いと思う。
多くの精神疾患患者が服薬をしながら、普通に生活をしている。その実態を少しでも知って欲しいと私は願っている。そのために今回、自著『双極性障害と闘う~患者として、新聞記者として』を出した。